なるいのDRM進化論

成井秀樹のKEYRING通信

ITmediaのオルタナティブブログにもより幅広い話題で執筆しています。
抄録をこちらに載せていますので、ご興味ある方はITmediaの方もご覧ください。

2009年1月アーカイブ

正月に考えたこと(その二)

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インターネットとデジタルメディアの関係はいわゆるイタチごっこの状態で推移して来た。インターネットが進化しブロードバンド化すると同時にそれを上回る勢いでデジタルメディアは巨大化して来た。ほんの数年前には300KBPSの動画でもみんなそれなりに興奮して、インターネットがブロードバンドになればこういった高品位のコンテンツを楽しめるようになると思っていた。ところが実際に回線がブロードバンドになったと思うとその時には700KBPSまたは1MBPSを超えるようなリッチな動画に慣れてしまい、もっとブロードバンドにならなければとフラストレーションが溜まって来る。光回線が当たり前になり10−20MBPSの回線が多くの家庭に引かれるようになると、3−4MBPS以上の高解像度またはHDコンテンツが当たり前になり、まだ回線が細いということになる。この関係はどこか妥当なところで落ち着くのだろうが、現状ではまだ高品位コンテンツを気持ちよく配信するにはブロードバンドとは言えない。

さらにこれらの巨大なファイルを配信するためには回線だけでなく、巨大なサーバーを構築運営する必要があり、これらがコンテンツビジネスの足を引っ張っている。Gyaoなども良い例で、動画に広告モデルを適用して素晴らしいビジネスモデルを目指したのだが、実際にはユーザー数が増えれば増えるほど回線とサーバーのコストがうなぎ上りにかさみ、それに伴う広告収入を得ることができずに未だに苦戦を強いられている。

そこで、マルチキャストやP2Pといったセンターサーバーに頼らない仕組みも盛んに導入されているが、これらもユーザー数とコンテンツの巨大化など最適なビジネスモデルを構築できていない。

DRMもこれに絡んでくる。動画を守るために敢て必要のないストリーミング配信をしたりして、ただでさえ不十分なインフラをぎりぎりに使うようなことをしている。しかもストリーミングがDRM的に安全化と言われればそんなことはない。いくらでもストリームをフックするソフトが出回っている。世の中のデジタルコンテンツでストリーミングで配信する必要のあるものは限られている。ニュースまたはスポーツやコンサートのライブ配信ぐらいなものだ。それ以外の90%以上のコンテンツはストリーミング再生をする必要はない。もちろん見たい時に見れるというのがデジタルコンテンツの利点なのでプログレッシブダウンロードのような仕組みは必要だが、ストリミーングではない。

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最近DVDレンタルの世界でも面白いことが起きている。アメリカのNetflixのようなDVDを月極で郵送で送り合うシステムだ。最近はDVDレンタル最大手のTsutayaも積極的にこのサービスを行っている。なんと言っても延滞の心配をしなくてもいいのが受けている理由だろう。それと同時にDVDなどは見たい時に見たいと言った欲求もあるが、それほどの切迫感がない場合の方が多いことが原因だろう。ある時あるDVDがどうしても見たくなったら郵送で送ってくるのを待っていることなどできなくて、近くのDVDレンタルショップに駆け込むのだろうが、そんなケースは稀なことだ。自分が見たい映画を自由にリストしておけば順番に送って来てくれるサービスはユーザーの心理をよくとらえたサービスだ。私はLivedoorのぽすれんというサービスを利用しているが、毎回2本づつ送られてくるDVDを月に3往復くらいのペースで楽しんでいる。

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本来、理想的なブロードバンドが存在すれば物理的なDVDを郵送しなくてもダウンロードすればいいのだが、DVD二枚で6−8GBのデータをダウンロードするのを待っているよりもなんとなく送られてくるDVDを待っている方が心理的にリラックスできるのだろうと思う。

(この稿さらに続く)

謹賀新年、正月にかけて考えたこと。(その一)

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今週パイオニアがレーザーディスクプレイヤーの生産販売を終了すると発表したのには驚かされた。1981年の登場から27年間に日本だけで360万台を販売したという。このニュースで何に驚いたかというと、「まだレーザーディスクプレイヤーを作っていたんだ」ということだろう。これが多くの人の感想だろう。レーザーディスクの後、CDやDVDが登場し最近ではBlueRayが次世代ディスクとして標準化された。その間レーザーディスクはしぶとく生き残っていたのだ。確か登場当初は百科事典や教材の媒体として注目されたように記憶している。最近はどうようなコンテンツが作られていたのか知りたいところだが、それは別の機会に譲って、デジタルコンテンツの媒体ということを考えてみた。

インターネットが発達しブロードバンドも一般化したため、デジタルコンテンツとブロードバンドが一対で考えられるのが当たり前になってしまい、オフラインまたはパッケージ化されたデジタルコンテンツ流通がとても古いものとして注目されなくなっている。音楽コンテンツの流通がiTunesを始めとするネット配信の台頭で従来のCDが売れなくなったというのが一般の見方だ。だがことの本質はそんなに単純ではない。

ipod.jpgアップルのSteve Jobsの有名な反論は「iPodの中にある音楽のほとんどはCDなどからのリッピングでネットから、有料無料を問わず、ダウンロードされたものは数%に過ぎない」というのがある。これは事実だろう。実際私の16GのiPhoneの中も、ほとんどがCDからのリッピングだ。デジタルコンテンツビジネスの先頭を走る音楽コンテンツがこういった状態なので、ネットで配信される映画やビデオコンテンツましてや電子雑誌や電子書籍などはコンテンツビジネス全体から見れば本当に微々たるものだ。

つまりまだ世の中はオフラインパッケージされた媒体の中のデジタルコンテンツが主流を占めているのだ。レーザーディスクさえもが何らかの理由で今日まで新しいプレイヤーが製造されていたのだ。

usb.jpgもう一つデジタル記憶媒体の話で最近注目されるのがフラッシュメモリーの急激な低価格化だ。1GB100円という声が聞こえて来ている。これもかなり革命的なことだと思う。1GBあれば標準画質の映画ならば十分入ってしまうし、音楽や書籍系のコンテンツならばかなりの数を入れることができる。そのコストが100円だとういうのだ。もちろんこれには従来の媒体はCDだろうがDVDだろうがかなわない。さらに書籍系のコンテンツの媒体としての紙の費用対効果も大きく凌駕している。容量だけを見ればDVDはまだ対等に勝負できるかもしれないが、USBやSDメモリの扱いの容易さを考えるとDVDもおちおちしていられなくなってきた。もちろん、FlashメモリとCDやDVDではコンテンツのコピーの仕方が違うので、大量に同じパッケージを作る場合にはCDやDVDに軍配が上がる。一方、書き替えが容易にできるFlashメモリの場合は少数またはOn Demandの用途に最適だ。そして世の中のコンテンツ市場を見ると、何百万部と売れるようなコンテンツはほんの一握りで、その他の多数はいわゆるロングテールを形成している。

(この稿続く)
プロフィール
成井秀樹写真
アスキーにてMS-DOSなどマイクロソフト製品の日本市場導入にかかわり、西社長(当時)やマイクロソフト社長ビル・ゲイツ(当時)から薫陶を受ける。99年アイドック株式会社を創業、05年PDFコンテンツの著作権保護ソリューション「KeyringPDF」を開始。07年、国内初のSaaS型FLASHコンテンツ保護ソリューション「KeyringFLASH」を開始した。デジタル著作権保護の第一人者。趣味はフライフィッシング、東京外国語大学卒、東京都出身。
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