なるいのDRM進化論
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年末ということで一年を総括すると同時に来年への橋渡しとしてブログのテーマであるDRM進化論についてまとめてみる。書き始めると長くなってしまうので数回に分けて書くことにする。この図は出版流通の課題と進化の様子を表したものだ。きっかけとなったのは最近話題になっているChris Andersonの「FREE」だ。ぼくの頭の中でもやもやしていたものをAndersonはかなり明確に言い切ってくれた。もちろん中には疑問の点もあるし、極論に走っている面もある。また業種によってのニュアンスの違いもあるだろう。だが、ぼくが気にしている出版については強烈にインパクトのある提言になっている。各論に入る前に一言でこの図を説明すると、インターネットや電子技術を利用することで非常に低い費用でマーケティングすることによりこれまで到達できていないユーザーに商品を販売することができるようになるということだ。Andersonは「FREE」の中で、競争社会では商品の価格は限界費用に限りなく近づき、電子コンテンツの場合はその限界費用はゼロに限りなく近づくと言っている。
出版社、取次、書店の流通が再販、委託といった古い制度のために硬直化し本来の機能を果たすことができなくなっている。特にインターネットを中心とする新しい技術によって定義されつつある新しい流通を自らのものにできずにいる。これまでの出版流通は取次を通した書店での販売に依存しており、書店での陳列が基本的にマーケティングのすべてである。これではTAM(Total Available Market)、総可能市場の多くの部分にリーチすることができていない。結果として販売の最大化はされていない。Amazonなどのネット書店がそれを補完しているが限界がある。
このブログ記事を参照しているブログ一覧: DRM進化論 出版流通の再定義(1)
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