なるいのDRM進化論

成井秀樹のKEYRING通信

ITmediaのオルタナティブブログにもより幅広い話題で執筆しています。
抄録をこちらに載せていますので、ご興味ある方はITmediaの方もご覧ください。

カテゴリ:電子出版

記事蔵を見ながらこう考えた。課金すれば角が立つ。無料にすると流される。意地を通せば窮屈だ。とかくにデジタルは住みにくい

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Img_1144今月から始まっているイースト社のニュース配信サービス記事蔵がおもしろい。共同通信社のニュースをiPhoneアプリとして販売している。これまで新聞社系でもポータル系でも専門的なものは除いて一般ニュースを課金して配信するというモデルはiPhoneには無かったと思う。「記事蔵(キジゾー)」は日本語ニュースを閲覧できる「共同通信ニュース by 記事蔵」と英語ニュースを閲覧できる「KYODO NEWS by Kijizo」の2種類がある。価格はどちらも350円。初回起動時から3ヶ月間の購読ができるので月額100円+ということだ。記事の移動が横スクロールで非常になめらかにできている。最近GoogleがFast Clipというサービスを始めたが、動きはそれに似ている。

つづきはこちらへ、

The Apple Reader powered by Apple? <br />AppleとAmazonの動きから目が離せない。

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 AppleのSteve Jobsが療養のために長期休暇に入っているのは、大変寂しい思いがする。Appleのコンファレンスも今年からはSteveに代わってほかの役員が行っているが、その役者不足の点はなんとも覆いがたいものがある。彼が今後元気になって復活してくれるかは神のみぞ知るところだが、これまでの彼の目覚ましい働きはこれからの業界でも語りぐさになるに違いない。

ipod_etc.jpg そのSteveがAmazonのKindleについてAmazonのJeff Bezosと会談した大変面白い記事がある。今年の2月にCNET USのReviewに載った話で、会談とは言っても実際の話ではなく、あくまでも空想の話だ。全文を紹介することはできないのでぜひ、電子書籍端末やAppleやAmazonの動きに興味のある方はご覧になって欲しい。英文だが簡単な会話なので難しくないし、笑えること間違いない。

cnet reviews : Steve Jobs meets the Kindle

 2007年11月某日、SteveはJeffからKindleを見せられて、そんなもの売れるわけがないと一蹴するのだが、その言い方が彼らしいのと、いかにも本心を隠している感じがいかにもで本当の記事かと一瞬思ってしまう。「そもそもアメリカ人の40%は去年1冊も本を読んでいないんだ」「最低のデザインだし、ボタンが多すぎる、エレガントじゃない」「誰がそんなものに400ドルも払うと思っているんだ」といった辛辣なコメントが続く。

 面白いのは、Steveに読書端末なんて市場が小さすぎると言われてJeffが
Bezos: You have 5 percent of the PC market. I'm looking at the 5 percent of people who read a lot. How's that any different? 
と切り返すところだ。これにはさすがのSteveも黙ってしまう。会談のクライマックスはこう続く、

Bezos: Think about it. "The Apple Reader powered by Amazon."
Jobs: How 'bout "The Apple Reader powered by Apple?"
Bezos: People don't read books.
Jobs: Until I make it cool to read 'em.

book.jpg ここの辺りは最近のApple周辺の噂を知っている今となっては大変興味深いものがある。AmazonはiPhoneやiPod TouchでKindle用のデジタルブックが読めるソフトをApp Storeで配り始めたし、大型のiPod TouchやNetbookに対抗するMacBookのTouch Panel版であったり様々な噂や憶測が業界を流れている。Appleの本社に大量の本が運び込まれて来るべきMacBook Readerのためのデジタル化が進んでいるとか、まことしやかに語られている。

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デジタル動画ビジネスとDRM

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9月29日のCNETの記事で米アマゾン・コムのオンデマンド動画サービスから動画を無料で保存できる状態になっていることが報じられている。(Flash Media Server」にセキュリティ問題--アマゾンから動画を無料ダウンロード可能に
アマゾンはAdobeのFlash Media Server 3.0を使って有料で映画やテレビ番組の動画のサービスをしているのだが、Adobeのソフトウェアのセキュリティホールのために特定のキャプチャソフトウェアで自由に保存ができてしまうということだ。Adobeはストリーミングの性能を重視してセキュリティの実装が甘かったことを認めているらしい。

20081023_03.jpg
デジタルコンテンツビジネスにおいてDRMは基盤となる技術で、コンテンツビジネスの拡大とともにDRMについても様々な議論がなされている。議論の傾向としては、DRMの否定的な面のみを取り上げて「DRMは必要悪である」と表現したり、極端な場合は「必要」が取れて「悪である」ように言われたりしている。そういった議論では頻繁にDRMの本来の目的を忘れてポイントの外れたままの議論になっている例も多い。または、アップルのSteve Jobsのように意識的にDRMの意義を歪めて説明して自分の主張を通すための道具に使っている例もある。

複製が容易で複製されたコンテンツの品質が劣化せず、しかもその配布が容易だというデジタルコンテンツの特性から、デジタルコンテンツをビジネスにしようとする場合、DRMは避けて通ることができない。そしてDRMはデジタルコンテンツの特性を制限することになるため、ユーザーの利便性を間違いなく損なう。この矛盾をどう解決するのかがまさにデジタルコンテンツの本質でもある。DRMだけでなく、広告や課金などビジネスモデルの面からも様々な試みがなされている。アップルのiTunesはその優れた成果の一つで音楽だけでなくビデオや映画の配信でも主要なプレイヤーになりつつある。


20081023_04.jpgビジネスを守りつつユーザーにとってストレスの無いDRMが求められている。またより多様なサービスを提供する基盤を作ることが期待されている。アイドックのKEYRING.NETを含め各社開発に力を入れているがまだ路半ばというところだ。DRMとはコンテンツをビジネスにする側とそれを消費する側のせめぎ合いで、DRMはデジタルコンテンツビジネスの普及の裏面史である。昨今言われるような「DRM不要論」では何も解決しない。

動画コンテンツを不正な利用から保護しようとした時、従来からのソリューションの一つはストリーミング配信である。デジタルコンテンツをダウンロードさせるからいろいろな不正な処理がされるのであって、ストリーミング配信すればその危険性が少なくなくなるというものだ。しかし現在ではストリーミング配信されたコンテンツを保存するソフトウェアは巷に溢れていて、もはや安全とは言いがたい。これは今回アマゾンの例で改めて証明されてしまった。もちろん、ダウンロード(Progressive Downloadも含む)される場合よりも不正利用の可能性が低いということは事実だが、ストリーミング配信していれば安全とは決して言えない。

ストリーミング配信がより安全だという理由で、多くのコンテンツが必要以上の配信インフラを使っている。このために、最近では米国のComcastのようにユーザーの利用する帯域を制限しようとする動きもあり、一層デジタルコンテンツが持つ本来のダイナミズムが阻害されようとしている。(コムキャスト:「『過剰な』トラフィックをブロックしているだけ」--BitTorrent問題で釈明

適切なDRMで保護されていれば、デジタルコンテンツの配信方法は何であってもいいはずである。適切なDRMの代わりに配信方法が制約を受けている。最近はP2Pによるコンテンツ配信も広く使われようしているし、DVDやBDなどによるオフライン配信も盛んになるはずである。現在デジタルコンテンツの配信にストリーミングが使われていたり、大規模なCDNが利用されていたりするのは適正なDRMの欠如が一つの原因かも知れない。



次回はさらに話題を広げて動画ビジネスと課金や広告との関連について考えてみる。

プロフィール
成井秀樹写真
アスキーにてMS-DOSなどマイクロソフト製品の日本市場導入にかかわり、西社長(当時)やマイクロソフト社長ビル・ゲイツ(当時)から薫陶を受ける。99年アイドック株式会社を創業、05年PDFコンテンツの著作権保護ソリューション「KeyringPDF」を開始。07年、国内初のSaaS型FLASHコンテンツ保護ソリューション「KeyringFLASH」を開始した。デジタル著作権保護の第一人者。趣味はフライフィッシング、東京外国語大学卒、東京都出身。
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