今週パイオニアがレーザーディスクプレイヤーの生産販売を終了すると発表したのには驚かされた。1981年の登場から27年間に日本だけで360万台を販売したという。このニュースで何に驚いたかというと、「まだレーザーディスクプレイヤーを作っていたんだ」ということだろう。これが多くの人の感想だろう。レーザーディスクの後、CDやDVDが登場し最近ではBlueRayが次世代ディスクとして標準化された。その間レーザーディスクはしぶとく生き残っていたのだ。確か登場当初は百科事典や教材の媒体として注目されたように記憶している。最近はどうようなコンテンツが作られていたのか知りたいところだが、それは別の機会に譲って、デジタルコンテンツの媒体ということを考えてみた。
インターネットが発達しブロードバンドも一般化したため、デジタルコンテンツとブロードバンドが一対で考えられるのが当たり前になってしまい、オフラインまたはパッケージ化されたデジタルコンテンツ流通がとても古いものとして注目されなくなっている。音楽コンテンツの流通がiTunesを始めとするネット配信の台頭で従来のCDが売れなくなったというのが一般の見方だ。だがことの本質はそんなに単純ではない。

アップルのSteve Jobsの有名な反論は「iPodの中にある音楽のほとんどはCDなどからのリッピングでネットから、有料無料を問わず、ダウンロードされたものは数%に過ぎない」というのがある。これは事実だろう。実際私の16GのiPhoneの中も、ほとんどがCDからのリッピングだ。デジタルコンテンツビジネスの先頭を走る音楽コンテンツがこういった状態なので、ネットで配信される映画やビデオコンテンツましてや電子雑誌や電子書籍などはコンテンツビジネス全体から見れば本当に微々たるものだ。
つまりまだ世の中はオフラインパッケージされた媒体の中のデジタルコンテンツが主流を占めているのだ。レーザーディスクさえもが何らかの理由で今日まで新しいプレイヤーが製造されていたのだ。

もう一つデジタル記憶媒体の話で最近注目されるのがフラッシュメモリーの急激な低価格化だ。1GB100円という声が聞こえて来ている。これもかなり革命的なことだと思う。1GBあれば標準画質の映画ならば十分入ってしまうし、音楽や書籍系のコンテンツならばかなりの数を入れることができる。そのコストが100円だとういうのだ。もちろんこれには従来の媒体はCDだろうがDVDだろうがかなわない。さらに書籍系のコンテンツの媒体としての紙の費用対効果も大きく凌駕している。容量だけを見ればDVDはまだ対等に勝負できるかもしれないが、USBやSDメモリの扱いの容易さを考えるとDVDもおちおちしていられなくなってきた。もちろん、FlashメモリとCDやDVDではコンテンツのコピーの仕方が違うので、大量に同じパッケージを作る場合にはCDやDVDに軍配が上がる。一方、書き替えが容易にできるFlashメモリの場合は少数またはOn Demandの用途に最適だ。そして世の中のコンテンツ市場を見ると、何百万部と売れるようなコンテンツはほんの一握りで、その他の多数はいわゆるロングテールを形成している。
(この稿続く)