なるいのDRM進化論

成井秀樹のKEYRING通信

ITmediaのオルタナティブブログにもより幅広い話題で執筆しています。
抄録をこちらに載せていますので、ご興味ある方はITmediaの方もご覧ください。

「電子書籍の規格を統一すべきだ」という議論を考える。DRMはビジネスモデルと密着した技術。

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Amazon KindleやApple iPadに触発されて電子書籍または電子出版についての議論が活発だ。毎日のようにニュースが飛び込んでくるのでそれらをチェックするだけでも一苦労だ。その中で時々見かけるのが言葉の定義が間違っていたり曖昧なために議論が成立していない場面だ。例えば、「規格の統一が必要だ」ということがよく言われる。先日の政府三省のなんとか懇談会や大手出版社による電書協などの設立趣意書でも「規格の統一」と書かれているが、規格とは何を指しているのか、恐らく書いている本人もよく分かっていないと思う。

業界発展のために規格を統一しましょうというのはとても聞こえがいいのだが、いったい何を統一しようと言うのだろうか、またそれはどういったプロセスで行われたらいいのだろうか?

まず電子書籍を流通させるためのフォーマット(方式)がある。これまで紙にインクを乗せて配っていたものを、電子ではどうするかということだ。Amazon KindleでAZWという独自の方式が使われている他はPDFが主流で今後はオープンな団体で決められたePubというXMLをベースにした方式が主流になるとされている。Amazon以外はほとんど全てのハードメーカや書店がすでにePubの採用を表明している。Amazonも時間の問題でePubをサポートすると思われる。これ以外ではApple iPadなどを対象に出版社ごとに独自のアプリケーションとして雑誌などを配信することも行われている。iPhoneではすでに始まっていることだが、iPadの発売でよりリッチなコンテンツを作ろうと動いている雑誌社は多い。これはPDFだとどうしてもこれまでの紙媒体のままのデザインを踏襲する形になるし、ePubだとデザインとしての表現力に劣ることが原因だ。動画、音声、アニメーションを取り込んだ新しいコンテンツが作られる。ただし、これができるのは一部の有力な媒体に限られる。多くの媒体の中でこんな開発ができるのはほんの一握りの著名な媒体だけだ。ということで、当面、電子出版に使われるフォーマット(方式)としてはPDFまたはePubになる。

次はビュアーだ。ビュアーはPDFやePubといった方式のコンテンツを実際に描画して電子ペーパーや液晶の画面に表示するアプリケーションソフトウェアだ。Amazon Kindleなど専用端末ではハードとビュアーが一体になっているが、iPadなどのような汎用機では同じハードウェアの上に複数のビュアーが存在する。当然のことながら、同じフォーマットに複数のビュアーがあり得る。PDFもePubもビュアーという概念を内包していないので、端末にどのように表示するかはビュアーの役割だ。iPadにはすでにAppleのiBook Playerの他にKindle for iPad、Nook for iPad、Stanzaなどいろいろなビュアーが発表されている。ここらへんが話を混乱させている原因だ。

そして次がDRMだ。PDFやiPadなどの標準フォーマットを使ったコンテンツでも、その方式をサポートする端末間で互換があるわけではない。iPadで買ったePubコンテンツをSony Readerで読むことはできない。それぞれ、コンテンツには何らかのDRMが施されているからだ。ただし、Kindleで買ったAZWコンテンツをiPadのKindle for iPadで読むことはできるし、今後AmazonがePubコンテンツを販売はじめた時にも同様だろうが、そのePubコンテンツをAppleのiBook Readerで読むことはできない(と思う)。別の言い方をすれば、そのコンテンツが読めるかどうかは方式だけでなく、DRMとビュアーの組み合わせが決め手となる。そしてこれはベンダーのビジネスモデルと密着した事柄なので、誰かが業界で統一しましょうと言っても無意味な話である。

(つづく)

待望のロストシンボルが発売。KindleとiPadの違いに改めて注目。

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Picture 2.png数カ月前から宣伝されていたので、待ちに待ったって感じだ。漸くDan Brownの新作"The Lost Symbol"の日本語版が発売された。待てない僕はKindleでサンプルをダウンロードしてすでに6章の途中まで読んでいた。実際はKindleではなくiPhoneで読む方が多いので写真は紙本の上のKindle for iPhone。Dan Brownの特徴は始めの1頁から事件が起こるので、最初の部分を読んでいるだけで十分にミステリーの醍醐味を味わうことができる。またその分、早く続きが読みたいという欲求も高まってくる。ということで、僕は恐らく他の普通の日本人以上に今日の発売を待ち焦がれていいた。日本語版で確認してみると、Kindleでダウンロードしたサンプルは日本語版の44頁の9行目までであった。結構中途半端なところでサンプルは終わっている。話はすでに佳境に入っているので、途中で切られると渇望感をより増長する。テレビドラマで一番いいところでCMが入るみたいなものだ。今回の日本語訳は上下巻に分かれていて上巻が350頁あるので、上下で700頁だとすると(今日は荷物になるので上巻しか買わなかった)6%強をサンプルとして無償ダウンロードさせていることになる。6%というと少ないように思われるが、実際には44頁分で十分に立ち読み以上の情報を読者に与えている。本屋で立ち読みしても44頁というのはかなり勇気と時間と体力を必要とする行為だ。

あまり語られることが無いのだが、これがまさにAmazonがKindleで行っている隠れた(別に隠れてはいないのだが)マーケティング効果だ。立ち読み以上の興奮をネットを使い多くの購買候補者に無償で配り紙媒体の販売につなげている。僕はこれが電子書籍の最大の役割だと思っている。電子書籍を商品として売ることも意味あることだが、それ以上に紙媒体のPR媒体としての効果が重要な意味を持っている。本のPRというのは今でも基本的には書店に商品を並べて選んでもらうという非常に原始的な方法が主流だ。これだけ情報技術が発達した今でも何も変わっていない。これまでのAmazonなどのネット書店でも基本は同じでサイトに訪れた人がRecommendやBook Reviewを頼りに本を選ぶ。簡単な中身を見れる仕組みもあるが非常に限定的であまり参考にはならない。よく聞く話は、(実際僕の例でもあるが)街の書店で本を探して家に帰ってからAmazonで買うと言う人は多い。つまりこれまでのAmazonのサイトではリアルの書店での本を探したり立ち読みする経験を上回ることができていなかった。そこでKindleが生まれた。人はどこにいてもすぐに興味のある本のサンプルまたは全体をダウンロードしてすぐに読み始めることができる。それは立ち読みを超えた刺激を読者に与え、興味を持った多くの人はそのままAmazonで紙媒体の本を購入する。1−2日発想に時間がかかっても構わない、その間はKindleで読み続けることができるから。

この単純な事実を理解すると、Kindle対iPadの戦いも違った見方ができる。iPadでの書籍の販売はそんなに期待できない、何故ならばAppleには紙媒体の本を売るビジネスモデルが無いからだ。そこでむしろ雑誌や新聞といったフロー系のコンテンツの方に重心が置かれるだろう。iPadで書籍のサンプルを見て、Amazonで本を購入するというのはあるだろうが、それではAppleは困ったことになる。

「今日から電子出版」始めました。

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PDFドキュメントの配布ソリューションとしてドキュメント認証というサービスを昨年始めてから多くの方にご利用いただいています。小規模な出版、教材の配布、企業の機密文書など様々な利用方法をむしろお客様に教えていただいた気がします。今回この仕組を使ってより出版社の方に利用していただこうと考えて用意したのが「今日から電子出版です。

出版社にとって始めて電子出版を始めようとするとどうしてもいろいろなことを用意しなければならなくなります。書籍の電子化(PDF化)はもとより、その商品としてのセキュリティの確保(DRM)、読者への配信方法、読者への課金方法など様々です。でもやり方によってはもっと簡単に安全に行うこともできるのです。

「今日から電子出版」を使うことにより、出版社は書籍をPDFで用意するだけで電子出版を始めることができます。PDFをサーバーにアップロードして暗号化と閲覧条件の設定を行います。暗号化されたPDFファイルをお客様にどのような手段で渡しても構いません。そのファイルは認証キーなしでは絶対に開封できないからです。サーバーで必要な数の認証キーを作成して読者にはその認証キーを渡す(販売する)ことになります。認証キーの渡し方も自由です。メールで送ってもいいし、紙に印刷したものを渡すこともできます。場合によっては電話で口頭で伝えることさえできます。

認証キーを貰った(買った)読者はそのキーを使ってPDFファイルを閲覧することができます。一つの認証キーで設定された台数のPCでPDFを閲覧することができます。例えば認証キー一つで100台のPCの閲覧できるように設定しておけば、会社などへのコーポレイトライセンスができます。同じ認証キーを共有して100台のPCまで見ることができます。

「今日から電子出版」の基盤となる技術は「ドキュメント認証」です。ですから閲覧条件として、印刷部数の制限、期間の制限、オフライン閲覧の期間制限などKeyringPDFの機能をそのまま使うことができます。

価格も考えました。これまでのドキュメント認証では毎月の定額によるSaaS提供でしたが、出版社の要望に答えてもっと柔軟にサービスを使っていただけるように、一定の金額をプリペイドしていただいて、利用に応じて引落して行く方法を用意しました。これにより毎月定期的に販売(配布)が行われない場合でもサービスを使っていただくことができます。またプリペイド方式の中に二つのモデルを用意して、少数の点数の書籍を多数の読者に販売する場合でも、多くの点数を少数の読者に販売する場合でも利用いただけるようになりました。

ぜひご検討ください。今月は2月25日に「今日から電子出版」の利用セミナーを行います。空席はわずかになっているようですが、お申し込みをお待ちしています。

昨年8月の興奮からたったの6ヶ月、あっと言う間にアニマルファーム状態。なんとかならないのか?WHICH IS WHICH?

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But they had not gone twenty yards when they stopped short. An uproar of voices was coming from the farmhouse. They rushed back and looked through the window again. Yes, a violent quarrel was in progress. There were shoutings, bangings on the table, sharp suspicious glances, furious denials. The source of the trouble appeared to be that Napoleon and Mr. Pilkington had each played an ace of spades simultaneously.
Twelve voices were shouting in anger, and they were all alike. No question, now, what had happened to the faces of the pigs. The creatures outside looked from pig to man, and from man to pig, and from pig to man again; but already it was impossible to say which was which.

1944年に書かれたGeorge OrwellのAnimal Farmの最後の部分である。高校の英語の授業で副読本で読んだ。始めてCover to coverで読んだ英語の本であった。内容がおとぎ話のようで英語の初級で使う読み物としては最適なのであろう。恐らく今でも多くの高校生が読んでいるのではないだろうか?特に最後の文章が印象に残っている。人間に支配されていた農園の動物たちが豚をリーダーとして反乱(革命)を起こし自分たちが支配者となる。その後あっと言う間に豚は人間そっくりになっていく。この最後の場面は豚のリーダーであるナポレオンと人間のピルキントンがトランプをしていて、何故か同時にスペードのエースを出したことから大騒ぎになったところだ。外にいた動物たちが家の中を覗き込む。豚から人間へ、人間から豚へ。でもその時にはすでにどちらがどちらか分からなくなっていた。

最後の"it was impossible to say which was which."という表現が、日本語の「もうどっちがどっちだかわからない。」というのと同じなんだなぁという印象がとても強く今でもその授業の様子をよく覚えている。Animal Farmは1944年に書かれている。まだ第二次世界大戦は終わっていない。George Orwellはソ連における共産主義の実態をみごとに風刺したわけだ。

さあ、日本だ。もう何も言う必要はない。小沢一郎はみごとにナポレオンを演じている。ピルキントン役は誰だろうか?自民党はどうも役者不足でいい俳優が思い浮かばない。8月の選挙で当選した多くの民主党の新人議員たちにとって、本当にどっちがどっちか分からなくなっている状態だろう。ましてや、民主党に投票した国民は口を開いて呆れるばかりだ。今年は参議院選挙がある。一体われわれはそれこそWHICHに投票したらいいのか?

ラジオがネット解禁、ようやく日本でも当たり前のことができるようになるのか・・、さぁ、次はテレビだ。

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ラジオ各局がいよいよネットでの同時放送に踏み切る。日経ビジネスオンラインの報道によると、

AM、FM、短波の大手民放ラジオ局13社は、3月中旬から、地上波と同じ放送内容をインターネットでもサイマル(同時)送信することを決めた。日本音楽著作権協会(JASRAC)や日本レコード協会といった権利団体とも合意を得た。2月中にも正式発表する。

海外ではとっくに始まっているサービスだが、日本のラジオ放送局もようやく重い腰を上げたということか。というよりも、これ以上ネットを無視することができない状況に来たということだろう。ラジオ広告費は91年の約2400億円をピークに、2008年の約1550億円まで減少している。

もともとラジオ視聴者とネットのヘビーユーザーはかなり重なる部分がある。一方、テレビの視聴者は必ずしもネットユーザーとは結びつかない。ラジオのチューナーの数が激減しているのもラジオ局を動かした原因だろう。たしかに車の中、病院のベッドなどの特定の環境以外でラジオをいつも聞いているという人の数はどんどん減っているのだろう。昔の若者は深夜ラジオを友としたものだが、最近はネットがその座を占めている。

日経ビジネスの報道を読むと、まだまだ解決されていない問題がある。放送局は地域制のビジネスモデルなので、例えば日本中からどの放送も聞けるようにはされない。新聞のネット配信についても同様のことが問題になっている。いくつかの新聞社はデジタル新聞のネット配信をしているが、どの新聞社もその新聞が配られている地域では受信できない仕組みになっている。ラジオの場合はネットでの受信を電波を受信できる地域に限定しようとしているが、新聞はその逆で紙の新聞を販売している地域以外に限定している。それぞれ当事者の悩みや課題は理解できるが、完全にユーザー視点を失っている発想だ。

とは言え、マスコミの一角がネットとの融合に一歩足を踏み出したというのは素直に喜びたい。3月から試用で9月から本格運用に入るらしいが、ラジオとネットの融合というのは恐らく放送局が思い描いたよりもずっと大きな影響を持つだろう。ラジオ放送の内容がツイッターで流れ、それを見てすぐにラジオをネットで聞くなどという視聴方法が始まる。逆にラジオ放送の中でURLが紹介されてHPに誘導されるようになる。テレビコマーシャルで「詳しくは検索で」みたいに言われてもテレビを見ながらパソコンでネットをしている場合でなければすぐに検索してHPに行くということは期待できないが、ネットラジオならばそのままHPと繋がることができる。

さあ、次はテレビだ。ラジオにできてテレビにできないことはないだろう。

本の価格は誰が決めるのか?Amazon vs MacMillan、不可思議な戦い

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Picture_5AmazonとMacMillanの間で奇妙な駆け引きが行われている。まだ新しいニュースで情報が錯綜していることと、両社とも正式なコメントを出していないので真相は明らかでないが、与えられた情報をもとに本の価格決定をめぐる主導権争いについて考えてみる。他の出版社と同様にMacMillanはAmazonとKindle版の価格について交渉または論争を続けていて、Amazonがつける$9.99を$15に上げるように要請していた。それが突然AmazonサイトからMacMillanの本が消えたというのだ。Usedや英国やカナダのAmazonサイトではこれまで通り売られているが、米国のAmazonからは消えたということだ。

ニュースソースによって表現が違っているが、あるところではMacMillanがAmazonから自社の書籍を引き上げたと言っている。実際にはそれは独禁法から言っても考えられないのでAmazonが商品リストから削除したのだと思われる。そこで単純な疑問としては何故Amazonはそんなことをする必要があるのかということだ。MacMillanからどんなプレッシャーがかかろうともKindle向けの価格を$9.99でもなんでも自由に設定すればいいではないか?逆に言えば、MacMillanは電子本の卸価格を上げることでAmazonに圧力をかけることができる。AmazonがKindle用には赤字で売っていると言われることがあるが、それもAmazonの自由のはずだ。僕はアメリカの独禁法に詳しい訳ではないので間違っているのかも知れないが、どこかの国と違って、アメリカでは書籍だろうが他の商品と一緒で自由販売が原則のはずだ。流通の上流にいる者が下流の価格を制限することはできない、できるのは自分の卸価格を決めることだ。

MacMillanが紙媒体の価格を維持するために、電子媒体の価格が極端に低くつけられることを望まないのは分かる。ただ、そうであれば電子媒体での販売をやめるかまたは卸価格を高く設定するばいい。一方Amazonが電子媒体を安く設定しようとする気持ちも分かる。電子媒体はどうしても紙媒体に比べて商品としての価値は低い。Kindleなどの電子読書端末で読む利点はあるものの、もしもKindle用の価格が紙媒体と同じかそんななに変わらなければ電子媒体はほとんど売れないだろう。$9.99は紙媒体の1/2もしくは1/3に相当すると思われるが、それが適性かどうかは市場が決めることで、現在は著者、出版社、小売、読者の間で適性な価格が模索されている段階だろう。もう一度言うがどこかの国のように書籍流通が拘束されていないアメリカではこういった市場での模索がダイナミックに行われているのだろう。

今回のAmazonとMacMillanの駆け引きもその一環だと思う。数日の内に妥当な線に落ち着くだろう。MacMillanとしても自社の紙媒体の商品がAmazonで販売されないというのは致命的な打撃だろうし、Amazonにとっても出版社とこのようにもめるのは得策ではない。出版社にとってはここに来てAppleやB&NやSkiffのように選択肢が次々に出てきているのでさらに強気になっているのも事実だろう。

よく電子本の適性価格は?ということを聞かれるが、それは個々のコンテンツごとに違うし最終的には市場が決めることだ。実際にAmazonではベストセラーになるような本が無料でKindle用に売られているケースがある。これは明らかにプロモーションとして電子媒体を使っている例だ。Kindleが始まった時、出版社はこぞって$9.99という価格に反発をしたが、2年経った現在は、落ち着いてそれぞれの適性価格を探している。

DRM進化論、出版流通を再定義する(4)日本電子書籍出版社協会の謎、出版社が21社集まって何をしようとしているのか?

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Picture_4日本電子書籍出版社協会の話題がかまびすしい。報道ばかりが先行していて当事者による発表を見ることができなかった。ということで、報道を要約すると、

日本の出版業界が「キンドル」の対応にあわただしい。キンドルの日本語版が出れば日本の出版社は共倒れになりかねないという危機感によるものだ。このため出版社21社が来月「日本電子書籍出版社協会」を設立することにした。競争関係にある出版社が異例に団結したのは、著作権法が「著述のデジタル化に対する権利は著者にある」と規定したためだ。ある出版社の関係者は、「Amazonが著者に直接交渉して電子書籍の出版権を得た場合、その本を最初に刊行した出版社は一切手を出せなくなる」と懸念している。Amazonがデジタル印税を紙の本の印税より多く支払うなど積極的に出てくる場合には資金力に弱い出版業界は身動きが取れなくなるという懸念が出ている。これに対応し、共同で電子書籍会社を設立してAmazonの攻略を事前に食い止めることが日本の出版業界の構想だ。出版社は日本政府に制度的支援を要請し、著者らから書籍のデジタル化権利を確保する方針だ。出版社は電子書籍のデジタル規格を統一する作業もともに進めていく。

まさにツッコミどころの多い内容だ。当事者の意図をどこまで正確に表現しているのか不明だが、とりあえずこれを当事者(21社の出版社)の意図としてとらえる。論点は大きく3つに整理できる。

1)Amazonと著者が直接交渉すると印税が上がる云々。こんなコメントを聞いて日本の作家達は黙っているのだろうか?たとえこれが出版社の本音だとしても、こんなにストレートに発言してまずいと思わないのだろうか?言い換えれば、出版社は著者を抱え込んで紙だろうが電子だろうが出版の自由は著者には無いと言っていると同じだ。また印税も出版社のコントロール下におくと宣言している。紙の出版を人質にして電子で出版する自由を取り上げようとしている。

2)共同で電子書籍会社を設立してAmazonの攻略を事前に云々。これも理解不能な内容だ。電子書籍会社とはいったい何をする会社なのか?Amazonの攻略を食い止めるとはいったい何をするつもりなのか?現在全国で書店が壊滅的に減少しているのに出版の落ち込みがまだそれほどではないのはひとえにAmazonのおかげではないのか?Amazonはすでに日本の書店流通のかなりの部分を占めている。書店が身近に無い人、書店に行く時間の取れない人などが本を買う手段は今やAmazonしかない。今仮にAmazonがなくなったら、日本の出版はすでに崩壊しているはずだ。「そのAmazonを食い止める」とは一体どういう意味なのだ。はっきり言えば、AmazonがアメリカのようにKindleで書籍の価格破壊を行うのを食い止めたいと言うわけだ。もっとはっきり言えば電子書籍でせっかく必死に守ってきた再販制度を壊されてはたまらないと言うことだ。こんなことは誰でも分かる事なのに、それをはっきり言わずに自らの行動を説明しようとするから訳の分からない文章になってしまう。

3)出版社は電子書籍のデジタル規格を統一する作業もともに進めていく云々。これも意味不明だ。アメリカではすでにePubというオープンなフォーマットで電子書籍を出版すると言うのは既定路線だ。Amazon、Google、Barns&Noble、Sonyなど主要な電子書籍ビジネスのプレイヤーはすでにePubをサポートすることを表明している。Appleだけが不明だが、おそらくAppleも電子書籍を扱うのであればePubをサポートしてくるだろう。ここで日本の出版社がこれから集まって新しい規格を作るというのか?ePubの仕様はオープンで縦書きなどの日本ほかの言語対応についても考慮されている。ただまだ実際に実装された実機が無いという問題があるが、これはいずれ解決されることだ。出版社が集まって何かすると言うのならば、こういった問題を認識して日本語ePubの実装をハードメーカーやソフトメーカーに働きかければいいのだ。

上記3点の論点を総合して言えることは今回の動きは出版社が書籍ビジネスの流通における価格決定権を確保しようとしているということだ。現在のように紙媒体での出版が99%を占めている段階では出版社の価格決定権が確保されている。著者には数%から10%の印税を払い、残りの流通における価格は再販制度という埃だらけの鎖で守られている。結果として書店の数は激減し、返本率は50%に近づき、出版社は自転車操業のためにひたすら粗製濫造を繰り返し、気がつくと誰もが利益を上げられないビジネスになってしまった。

確かに、AmazonのKindleは日本の出版界にとって黒船になる可能性がある。電子出版が行われるようになるとAmazonのように力のある書店や流通業者が著者と直接交渉して印税を決めることができる。著者は自らの作品の知的価値を自ら決定できる当たり前の状態になる。電子コンテンツには再販維持は認められないので書店や流通は状況に応じて自由に価格を決定できる。ここで重要なのは著者が最初の価格を決めるが、その後流通の段階では他の商品と同じように市場の原理で価格は変動することができるということだ。書籍が始めて普通の商品になる。著者との印税契約が%で決められていれば流通の価格に応じて印税も変化する。電子書籍はまだ揺籃期で紙媒体のビジネスを左右するほどの力は無いが(雑誌や新聞または実用書、教科書など例外も多いが)出版社としては電子書籍が鉄壁の出版社による価格コントロールの蟻の一穴になることを恐れている。

以上のことは別にぼくでなくても、誰もが理解できることなのに今回の報道でもマスコミは全く触れない。「出版社が大同団結してAmazonに対抗」みたいなまったく意味不明なコメントしか書けない。実はぼくは電子書籍について一般とは違った見方をしているのだが、これはまた別の機会に触れよう。

DRM進化論 出版流通を再定義する(3)日本の出版界は新しい形のガラパゴスになってしまうのか?

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写真上はガラパゴスイグアナ、Wikipediaによるとガラパゴスとは

技術やサービスなどが日本市場で独自の進化を遂げて世界標準から掛け離れてしまう現象のこと
だ。これまでIT系ではPCや携帯、HDテレビ放送などが挙げられる。これまではどちらかというと日本の技術が先行して他の世界とは違った規格を先行させてしまうといった感じがあったが、最近の電子書籍市場の動きを見ているとなんだかこれまでとは違う様子だ。

昨年末から正月にかけてアメリカでは様々な形の電子書籍端末やタブレット端末が発表され、いよいよ電子書籍/雑誌/新聞ビジネスが花咲こうとしている。とかく新しい端末のハード仕様に眼が行きがちだが、本来注目すべきはそれぞれの狙っているビジネスモデルだ。電子ペーパーだろうが液晶だろうが、3GだろうがWiFiだろうが本質では無い。本質は巨大な出版ビジネスの覇権をどこが支配するかということだ。2年前にAmazonがKindleを始めてからすでにアメリカでは書籍や雑誌または新聞の価格の決定権をだれが持つかということが争点になっている。流通において価格決定権はビジネスにおいてそれこそ決定的な意味を持つ。ここに既存書店系、出版社系などの新規参入があり、春にはIT系としてアップルの参戦も予定されている。いつものことながらこのように市場が新しい技術によってダイナミックに変わっていく姿を見ると、アメリカという社会を羨ましく見てしまう。

日本の技術力をもってすれば素晴らしい機能の端末ができるし日本のインターネットは世界有数のブロードバンドを実現している・・・・なのに、日本の出版界は全く動こうとしない。日本の出版業界はあたかもAmazonやAppleが日本上陸を果たして仕組みを作ってくれるのを口を喰わえて待っているかのごとくだ。それはそれで良いのかも知れない。いまさら日本独自の仕組みを作って世界に広める力は無い。問題は電子書籍のフォーマットがePubになろうとしているのに日本語のePubを作るソフトウェア環境がまったく用意できていないことだ。AdobeはIndesignでePub出力をサポートしているのだが欧文対応のみだ。先日日本のAdobeの話を聞く機会があったが、日本語ePubの対応の具体的な予定は無いとのことだった。これまでのガラパゴスは日本が技術的に進化し過ぎて世界の標準と合わなくなったという感じだったが、今回は完全に日本は世界の進化について行けずに取り残された状態だ。このままePubの日本語が出遅れるとKindleなどの海外の電子端末も日本では不完全なものになってしまう。Appleがどういった仕組みで始まるか不明だが電子書籍をやるからにはePubということになるだろう。その時、日本の電子コンテンツが画像ベースのコミックだけというのはいかにも残念である。

新年明けましておめでとうございます

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キーリングのホームページまたはこのブログをご覧になっていただいている皆さん、新年明けましておめでとうございます。今年はデジタルコンテンツビジネスが様々な形で花開く年になると思います。特に電子出版の世界は大きな変革の年になりそうです。アイドックもKeyringPDFやKeyringFLASHをより使い易いソリューションの形で提供できるようDRMの進化を目指していくつもりです。今年も皆さんのご理解とご協力をよろしくお願いします。

成井

本棚公開、かなり勇気のいる行為だけど・・

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Picture_2ご存知の方も多いと思うがブクログというサービスがある。ブックマークをベースにしたSNS的なサービスがあるが、ブクログは自分の読んだまたは読みたいと思っている本をベースにしたコミニュケーションサービスだ。著者や書名などのキーワードで簡単に本を登録することができる。説明では

ブクログではAmazonの商品データベースを利用しているため、Amazonで取り扱っていないアイテムを登録することはできません。現在Amazonで取り扱っていないアイテムも登録できるよう検討しております。
ということだ。つまりAmazonのDBを使って自分の本棚を管理、公開できるサービスだ。ビジネスモデルとしてはここで知った本をAmazonで買うことによるアフィリエイト収入らしい。運営会社はロリポップなどを提供しているPaperboyというGMO系の会社だ。年末ということで形だけ部屋の整理をしていてこのサービスの存在を思い出して手元にあった数冊だけを登録してみた。まだ使いこなしていないのでサービスについて評価はできないが少し続けてみようと思う。類似サービスもたくさんあるように思う。Amazonの付加サービス的な色彩が濃いがどういう進化を遂げるのか興味がある。現在ユーザーがどれくらいいるのか調べようとしたが分からなかった。参考に2009年のランキングを見ると、1Q84を登録したユーザーが2600人 いる。コミック系の登録も多いのでユーザーは20−30代中心だろうか。

ところで自分の本棚を公開するのはかなり勇気のいる行為だ。まだ差し障りのない数冊だけを登録しただけなのでストレスはなかったが、本当に自分の読書歴を本格的に公開するとなるとちょっと(かなり)気になる本もたくさんある。「あいつ、こんな本読んでるのか?」といった批判や軽蔑に耐える勇気がいる。その分、一定の量を公開するとその人物の人となりがそれなりに浮かんでくるのかも知れない。最近ぼくはTwitterにもはまっているが、全く知らなかった人をフォローしているとその人の何気ないつぶやきの中になんとなく人柄が浮かんでくるのと似ている。もちろん実像とは別の仮想の人格かも知れないがそれはそれで構わない。

試しにぼくの限定本棚をごらんください。

DRM進化論、出版流通を再定義する(2)

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Picture_2_7今回はこの図について説明する。赤い部分がTAMである。TAMとはTotal Available Marketでその書籍を販売できる可能性のある全ての市場を示す。日本の場合書籍販売数は一部のベストセラーを除くと数千から数万の間だろう。それに対してTAMはいったいどれくらいあるのだろうか?これはコンテンツごとに違うが、数万から数十万といったところだろう。問題はそこにどれだけ訴求(リーチ)できているかだ。それを表すのがベージュ色の輪だ。現在の出版流通の場合、出版社が販売数を想定して印刷部数を決め、取次が全国の書店に配本する。これがほぼマーケティングの全てだ。広告として新聞や雑誌に広告を載せるが有料であるしたいていの場合ごく限定的なものになる。話題の本の場合は無料で媒体に書評がのる場合もあるがこれも限られている。結果として赤とベージュの重なる部分は限定的になる。そして実際の販売はこの重なった部分の中でしか発生しないのである。

一方、デジタル技術とネットワークを利用した新しいマーケティングを使うことによって、このベージュの部分を最大化することができる。最大化できるということはTAMのほとんどまたは全てをカバーすることが可能になる。結果として赤とベージュの重なりも最大化され実際の販売も最大化できる。

「FREE」はこのことを実践して見せてくれた。書籍の内容をPDFで無料で期間限定ながら配布し、Wiredなど自社のインターネット媒体での告知やTwitterなどによるバズマーケティング手法もふんだんに使った。これらは基本的に無料のマーケティングだ。これらの手法により「FREE」に興味を持ち購入する可能性のある市場のほとんどに訴求することができた可能性がある。Amazonでは50日間以上も100位以内を続けているしビジネスカテゴリでは一位を続けている。これはかなり衝撃的な事実である。もし「FREE」を通常の出版流通で販売した場合、売上は比較にならない位低いものになった筈だ。また附帯ビジネスとしてはChris Andersonの前の著書である「ロングテール」が改めて売れたり、監修の小林弘人氏の著書が売れたり、おそらく講演の依頼も多く来ている筈だ。

改めて図に戻ると、いかに低いコストで赤とベージュの重なりを大きくするかということだ。既存の書籍マーケティングは今となってみれば非常に非効率な仕組みになってしまっている。書店に置くことがマーケティングの基本になってしまっているので50%という返本率を承知で配本する。しかもそれは都市部の大型書店に限定されるので地方または中小の書店にとってはその書籍は存在しないことになる。新聞などへの広告も低い利益の中から行うので数回だせれば良い方だろう。しかもこれらは全て有料だ。

つづく

DRM進化論 出版流通の再定義(1)

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Picture_2_7年末ということで一年を総括すると同時に来年への橋渡しとしてブログのテーマであるDRM進化論についてまとめてみる。書き始めると長くなってしまうので数回に分けて書くことにする。この図は出版流通の課題と進化の様子を表したものだ。きっかけとなったのは最近話題になっているChris Andersonの「FREE」だ。ぼくの頭の中でもやもやしていたものをAndersonはかなり明確に言い切ってくれた。もちろん中には疑問の点もあるし、極論に走っている面もある。また業種によってのニュアンスの違いもあるだろう。だが、ぼくが気にしている出版については強烈にインパクトのある提言になっている。各論に入る前に一言でこの図を説明すると、インターネットや電子技術を利用することで非常に低い費用でマーケティングすることによりこれまで到達できていないユーザーに商品を販売することができるようになるということだ。Andersonは「FREE」の中で、競争社会では商品の価格は限界費用に限りなく近づき、電子コンテンツの場合はその限界費用はゼロに限りなく近づくと言っている。

出版社、取次、書店の流通が再販、委託といった古い制度のために硬直化し本来の機能を果たすことができなくなっている。特にインターネットを中心とする新しい技術によって定義されつつある新しい流通を自らのものにできずにいる。これまでの出版流通は取次を通した書店での販売に依存しており、書店での陳列が基本的にマーケティングのすべてである。これではTAM(Total Available Market)、総可能市場の多くの部分にリーチすることができていない。結果として販売の最大化はされていない。Amazonなどのネット書店がそれを補完しているが限界がある。

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これが未来の雑誌?確かに楽しい、でもこれは雑誌なのか?

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Time Warnerが未来の雑誌のコンセプトとしてこんなものを作ったとTechCrunchで紹介されていたものだ。このビデオのような端末はおそらく来年にアップルから発売されることは間違いないので、後はこういったコンテンツが本当に出て来るのかということだ。確かにこのデモはよく出来ていし見ていて楽しいし、触っていても楽しいだろう。ところで果たしてぼくらはこれを雑誌と呼ぶのだろうか?

フリー経済学の教科書「フリー」が面白い。全く新しい経済学の始まりか。

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Screen_shot_20091130_at_32205「FREE フリー<無料>からお金を生み出す新戦略」 Chris Andersonクリス・アンダーソン、小林弘人=監修・解説、高橋則明=訳、NHK出版を読む。発売前にフリーでネット上で公開して評判になった。立ち読みではなくすべてを公開するというマーケティング手法を自ら実践してみせた。著者のChris Andersonは「Wired」の編集長でLong Tailという概念を初めて提唱したことで有名だ。この「フリー」はその続編にあたると言っていいだろう。今日のデジタルインフラを前提として経済活動をまったく新しい眼で捉えている。

そのメインとなる考え方が「フリー」だ。高度に進んだデジタルインフラのおかげで、デジタルによるものや情報の流通コストが限りなくゼロに近づいたことによるこれまでに無かったマーケティングの手法が生まれていることを歴史的な背景や様々な業種の例を引きながら解説していく。内容はIT業界についての話でもあるのだが、それよりはもっと広範囲で一般的な新しい経済学の本といえる。クリス・アンダーソンは経済学者ではないので話の進め方は決してアカデミックでは無いが、技術の発展によって新しい経済社会が生まれつつあることを情熱を持って語っている。内容は豊富なのでぼくが解説するよりはぜひ本を購入して読まれることを薦めるが、これから何回かに分けてぼくが特に興味を持った部分をぼくなりの解釈を加えて紹介する。

まず始めは「Penny Gap」という言葉だ。簡単に言うと1ドルでも課金する場合と無料とは大きな違いがあるということだ。実験なども含めて無料ということがユーザーに与える心理的影響がいかに大きいかを解説している。価格を下げていってゼロになった時に需要が非線形的な伸びを示す。逆の言い方をすると5ドルの売り上げを5000万ドルにするよりも最初の1ドルをユーザーに課金する方がより難しい。

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人は脳のみにて考えるものに非ず。

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R0010411タイトルで言いたかったことは人間の精神活動というものは身体のあらゆる場所で行われているということだ。デジタルでの知的生産活動を考える時どうしてもこのことが頭をよぎる。

作曲家も頭だけを使って作曲している訳ではないらしい。古典でも現代のポップスでも新しい曲を書くとどうしても自分のスタイルというものが現れてく る。それがその作曲家の才能であり個性と呼ばれるものになるのだが、そういったスタイルは癖と呼ぶこともできる。バッハにもモーツアルトにもベートーベン にも癖があった、始めての曲でも少し聞くだけで、「ああこれは誰だ」と推測が可能だ。同様にB'zでもサザンでも同じことで曲はたくさんあるがどれもそれ ぞれの個性、癖を明瞭に聞き取ることができる。問題はそういったスタイルまたは癖がどこから生まれて来るかということだ。もちろん脳の中から生まれる部分 もあるが、それと同じくらい身体の各パーツから生まれて来る。


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DRM進化論ってなんだい?って聞かれた時に何て答えようかって考えた。

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20090916110753-1.jpg気がつくとキーリングという名前でDRMのサービスを始めてからもうまる5年経とうとしている。その前にはアメリカのDRM技術の代理店をしていたのでそれを含めると8年くらいDRMとつきあっていることになる。ここまで続けて来れたのにはいろいろ理由があるが最大の原因は途中で止めなかったからだろう。生まれつき不器用なので一つのことをかなり執念深く続ける習性がある。アイドックのもう一つの事業であるプリンタ系のソフトウェアビジネスなどは、アイドックになる前からだからもう20年近くになる。友達、特に久しぶりに会ったアメリカの友達からは「ナルイ、お前まだそんなことやってるのか!」ってよく言われる。アメリカのIT系ベンチャーの感覚だとこんな小さなビジネスをちまちま続けているのはLoserなのかも知れない。でも最近はアメリカでも様子が違ってきたようだ。昔のように起業して2−3年でIPOしてExitしてなんて話はあまり聞かれなくなった。たんに景気が悪くなったのかまたは人が少し辛抱強くなったのか?それとも人間が少し進化したのか?

R0011249.JPG
そんな訳で、DRMをビジネスとして続けているといろいろなことが見えて来た。ちょうどこの5年というのはデジタルコンテンツビジネスが世間で注目されて大きなビジネスチャンスだと言われた時代だ。実際どうだったかは今から見れば当たってもいたしハズレでもあった。話題だけが先行して実際にコンテンツビジネスなるものでまともな収益を上げた例は多くない。そんな中でさらにニッチなDRMという技術に特化したサービスは正直まだ成立していない。逆に少し見えて来たのが人々が期待しているDRMというものが実はアイドックが始めに描いていたものとは少し違ってきたと言うことだ。それはアイドックの考えが間違っていたのではなく、人々の期待しているものが時とともに変わって来たのだと思う。

具体的にはこれから少しずつここで語って行きたいと思っているが、DRMもしくはデジタルコンテンツビジネス自体がその成長過程でどんどんその性格と社会の中での意義といったものを変化させてきているように感じる。始めはコンピュータで遊んでいるうちにこんなものができたって感じでCGだったりアニメだったりが作られ始めて、そのうち技術が進むと音楽が結構いい感じでデジタル化できることが分かって、そのファイルを始まったばかりのインターネットというネットワークに投げるとお金を払わずに新しい音楽を聞くことができてしまったり、云々、そんな形で進化してきた。そう進化して来たって感じが一番ぴったり来る。

フリーミアムを支えるDRM技術 デジタル技術が商品の販売戦略に革命を起こす

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Picture_1_2米「WIRED」の編集長クリス・アンダーソンの「フリー <無料>からお金を生みだす新戦略」が発売に先立って11月13日から先着1万人に無料で公開されたことが話題になっている。専用のサイトで簡単な質問に答えるだけでサイト上で閲覧できた。残念ながらぼくがそれを知った時にはすでに公開が終わっていて見ることができなかった。フリーミアムとは「フリー」と「プレミアム」の2つを合わせた造語でフリーサービスをベースにした新しいビジネスモデルを指す。例えば、時間、機能、数、顧客属性などによって使用を制限して最終的には有料のサービスに結びつけるというモデルだ。今回この本を無料公開したのもまた、本のテーマであるこのフリーミアム戦略に基づくものだ。今回の無料公開が実際にどのように有料ビジネスに貢献したかをデータを以て示して欲しいものだ。Amazonではすでに予約が始まっていて大変好調だということだ。

昔から試供品を無料で配って有料の販売に繋げるというのは古典的な販売戦略だが、フリーミアムではデジタルによる無料コンテンツの配布がポイントだ。試供品と違ってデジタルの場合その配布コストがほとんどゼロになることから、大量に無料コンテンツをばらまいてそこから数%の有料販売に繋げることができれば成功だということだ。

つづきはこちらで ITmedia logo.png

ロゴスウェアとの提携を発表しました。

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Screen shot 2009-11-30 at 12.03.45.png
アイドックとFlashブック作成ソフト国内最大手のロゴスウェア株式会社は著作権保護つきFlash教材作成ソフトの開発および販売につき提携し、今後拡大が予想されるFlashベースの付加価値コンテンツ市場、特に教材コンテンツ市場に販売していく。ロゴスウェアは自社のFlash形式のデジタルブック作成ソフト「FLIPPER3 Maker(フリッパー3メーカー)」やプレゼンコンテンツ作成ソフト「STORM Maker(ストームメーカー)」などにアイドックの「KeyringFLASH」DRMシステムを組み込み、ユーザーが著作権保護された教材コンテンツをシームレスに作成販売できるツールとして販売していく。

DRMをビジネスにしていると驚くほど幅の広いお客様とお話をすることができる。なかでも教材系の出版社や学校、予備校、専門学校またはそういったところのシステムを開発している会社からのお話も多い。一般の書籍や雑誌よりも限られた市場に付加価値の高い教科書や参考書などを販売する場合どうしてもDRMを無視することができない。

今後ロゴスウェアのようにFlash技術を武器によりリッチな教材が作られてくるだろう。動画、アニメーション、静止画、そしてそれらが組み合わされたもの。これらの教材は学校だけでなく、一般企業の社員教育や社会人教育、語学教育など様々な場所で使われて行くだろう。その時、アイドックのDRMがそのビジネスのお役に立つことを願っている。そのために、アイドックではキーリングを単なるDRMからデジタルコンテンツ流通のソリューションとなるべく開発をしている。

国立国会図書館 vs Google? どちらか選べと言うのなら、やっぱり、Google?

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Images1
ImagesPicture_1毎日.JPの記事から

電子書籍:配信へ、提言機関を設立 不況の出版界は懸念の声

国立国会図書館が所蔵する「電子書籍」を利用してインターネットで有料配信するという構想が浮上している。ネット時代の新たな書籍の流通システムは、同図書館と作家、出版社の3者が協力し、早期の稼働を目指すという。しかし、出版界には「ますます本が売れなくなる」と懸念する声が強い。新システムの内容と課題を探ってみた。【合田月美、臺宏士】ネットでの有料配信構想を発表したのは、国立国会図書館(長尾真館長)と、出版462社でつくる「日本書籍出版協会」(小峰紀雄理事長、書協)、作家らで組織する「日本文芸家協会」(坂上弘理事長)。長尾館長や小峰理事長、三田誠広・文芸家協会副理事長らが今月4日に東京都内で会見した。3者が「日本書籍検索制度提言協議会」(座長・松田政行弁護士)を設立、国会図書館蔵書のデジタル化や有料配信システムづくりについて、来年4月に具体的な提言を公表するという。

内容をよく読むとGoogle book searchと瓜二つの内容だ。というよりも、より怪しいと思うのはぼくだけだろうか?今年の著作権法改正で国会図書館に限って著作権者の許諾がなくてもデジタル化できるようになり、補正予算で127億円増額された資金で1968年までに受け入れた90万冊をデジタル化出来る見通しだという。これを第三者機関「電子出版物センター」を作ってそこで管理するという。ご丁寧に説明としてJASRAC「日本音楽著作権協会」と似た機能を持つと説明されている。これはすべてGoogle Book Searchがやりつつあることではないか。先日Googleは外圧に屈して当面英語圏だけのサービスにすると言ってドイツ、フランス、日本などからの非難をかわしたばかりだ。

つづきはこちらへ、

新国でヴォツェックの公開ゲネプロを観る。新感覚の演出に感動。

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ko_20001667_chirashi.jpg

東フィルのバイオリニストの友達にチケットを貰い新国でヴォツェックの公開GP(ゲネプロ)を観た。まず新国のHPから概要を引用する。

バイエルン州立歌劇場との共同制作となる本演目。2008年11月にバイエルン州立歌劇場において初演され、非常に高い評価を得ました。演出のアンドレアス・クリーゲンブルクは数多くの演劇作品を演出していますが、本公演の成功で、今後はオペラ演出においても重要な存在になることでしょう。歌手陣は、本演目をレパートリーとしており、本役でヨーロッパの主要な歌劇場において高い評価を得た歌手を招聘いたしました。
1時間半全3幕の短いオペラでストーリーも単純なものだ。20世紀を代表する革新的なオペラと言われ、新ウイーン学派を代表するアルバンベルクの代表作だ。という知識はあったが実際の公演を観るのは始めてだった。


つづきはこちらで、

Kindle、eSlick、iPhone、電子端末で「草枕」を読む。

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R0010889いよいよ電子書籍端末が現実的なものになってきた。アメリカではKindleがパイオニアとして市場を開拓しつつある中、Barnes&NobleはNookを発表しAppleのタブレット型Macが期待を持って語られている。Googleは自分の端末を用意する気は今のところ無いようだがその検索をベースとした圧倒的な影響力は既存の市場の期待を集めるとともに関係者を怯えさせている。電子ペーパーやAndroidOSなど技術要素に興味が行く傾向もあるが、ことの本質はビジネスモデルの構築だ。特に日本の新聞を含む出版界の停滞し閉塞し疲弊した状況を打破するには相当なパワーが要る。今後どのような展開になるのか興味あるところだ。このままだと、AmazonやAppleが日本市場も席巻しそうな勢いだが、どうだろうか?今のところ日本の出版界からは何の声も聞こえてこない。

つづきはこちらでお読みください。

松岡正剛の松丸本舗に行った。もう一人の知の巨人。

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R0010709_6Picture_1知の巨人シリーズ(いつからシリーズに?)第三弾として取り上げるのは松岡正剛だ。松岡はなかなか手強い。正直言ってぼくにはまだよく分からないところが多い。だが、恐るべき読書量ではこれまでの3人に負けていない。長年続けている書評の連作が2006年に「放埓篇」として全8冊の大型本『松岡正剛 千夜千冊』として出版された。全8冊の百科事典のような大型本で10万円近くもするものが1000冊完売したとして有名になった。内容を見ると広範囲にまたがっているものの、哲学、思想といった分野が多くそれが松岡の特徴である。早稲田では革マルの論客だったというだけあって、かなり理屈っぽい論旨を展開する。ある意味で佐藤優と近いところがある。体育会系思想家といったところだ。佐藤の論旨は比較的分かりやすい表現だが、松岡は必要以上に難解な表現を用いてかなり手強い。専ら「編集」というテクニカルな言葉を好んで使い、どんな話も「編集」に持っていこうとする。1987年からは編集工学研究所という株式会社を始め、編集工学という概念を徹底的に追求しようとしている。

つづきはこちらへ、

さっそく、Kindle for PCを試した。ちょっとがっかり。

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Idoc3cojpAmazonからKindle for PCがリリースされたので、さっそく使い勝手を試した。まず最初の画面が購入した本のサムネールが並んでいるライブラリー画面、次が書籍を開いた状態。Kindleと同じ文字サイズや行内ワード数の選択画面。次が本の中をKindleでハイライトしたものがKindle for PCで表示されている画面である。

ぼくの第一印象ではがっかりさせられた・・・・

つづきはこちらで、


mixPaperが面白い。電子書籍はここまでシンプルになれる。

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Picture 6.png

mixPaperが元気だ。アイドックのパートナーで新潟のベンチャー企業、株式会社ファンタジスタが4月から始めている電子書籍投稿サイトで、一言で言うと電子書籍系のYouTUBEだ。考え方はYouTUBEと同じで、ユーザーは無料で自分の静止画系コンテンツを投稿することができる。JPEGまたはPDFのコンテンツをアップするだけで、Flash形式の電子書籍として公開することができる。有料プランだと大きな容量がもらえて広告も制限することができる。ただし、まだ始まってばかりでそんなに広告が取れているわけではないので、無料でもそんなに広告を気にすることはない。さらに法人向けとしてさらに大きな容量とカスタマイズ機能もついたサービスもある。アイドックのKeyringFLASHが標準で用意されているので、保護をかけたい場合はDRMを選択することもできる。こういったところはYouTUBEよりもビジネスを最初から意識しているところだ。実際に出版社がオープンな場で立ち読みを提供する場として使い始めている。出版以外でもいろいろな企業がコンテンツの提供手段の一つとして検討している。面白いサービスとしては結婚情報センターが結婚情報誌デジノッツェを始めている。個人情報を守るためにKeyringFLASHが使われている。まだまだ始まったばかりのサービスだが、ぜひ見て欲しい。

Picture 7.pngということで11月26日にアイドックでmixPaperの紹介セミナーを行うので興味のある方はこちらから申し込んで欲しい。ただし場所が限られているので今回は法人としての申し込みに限らせてもらう。

JJ、植草甚一を知っていますか?コラージュという生き方

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R0011010_2津野海太郎著、「したくないことはしない、植草甚一の青春」新潮社、を読んだ。前々回に知の巨人として立花隆と佐藤優の二人について書いたが、ぼくが本当に尊敬し敬愛する知の巨人は植草甚一だ。ぼくぐらいの年代では植草ファンはとても多いはずなので告白するのは大いに恥ずかしいのだが高校生のころからかなり影響されている。最近は彼の最盛期のいわゆるファンキーじいさんと呼ばれた世代に自分が近づいて来たせいか、思うところが多い。

つづきはこちらで、

電気がこんなにわくわくするものだとは知らなかった

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Picture_1電気自動車という新しい技術によって100年続いたガソリン自動車の業界が様変わりしようとしている。そしてその自動車を組み込んだ形で社会のエネルギー消費の仕方も変わろうとしている。ネットワークとかリチウム電池とかITビジネスの枠内で考えているとモバイルPCの性能が上るといった程度にしか見てこなかったが、巨大な自動車産業や電力産業が大きく変わろうしているのを目の当たりにして90年代のインターネット黎明期以上にわくわくしてくる。

つづきはこちらで、

記事蔵を見ながらこう考えた。課金すれば角が立つ。無料にすると流される。意地を通せば窮屈だ。とかくにデジタルは住みにくい

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Img_1144今月から始まっているイースト社のニュース配信サービス記事蔵がおもしろい。共同通信社のニュースをiPhoneアプリとして販売している。これまで新聞社系でもポータル系でも専門的なものは除いて一般ニュースを課金して配信するというモデルはiPhoneには無かったと思う。「記事蔵(キジゾー)」は日本語ニュースを閲覧できる「共同通信ニュース by 記事蔵」と英語ニュースを閲覧できる「KYODO NEWS by Kijizo」の2種類がある。価格はどちらも350円。初回起動時から3ヶ月間の購読ができるので月額100円+ということだ。記事の移動が横スクロールで非常になめらかにできている。最近GoogleがFast Clipというサービスを始めたが、動きはそれに似ている。

つづきはこちらへ、

The Apple Reader powered by Apple?
AppleとAmazonの動きから目が離せない。

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 AppleのSteve Jobsが療養のために長期休暇に入っているのは、大変寂しい思いがする。Appleのコンファレンスも今年からはSteveに代わってほかの役員が行っているが、その役者不足の点はなんとも覆いがたいものがある。彼が今後元気になって復活してくれるかは神のみぞ知るところだが、これまでの彼の目覚ましい働きはこれからの業界でも語りぐさになるに違いない。

ipod_etc.jpg そのSteveがAmazonのKindleについてAmazonのJeff Bezosと会談した大変面白い記事がある。今年の2月にCNET USのReviewに載った話で、会談とは言っても実際の話ではなく、あくまでも空想の話だ。全文を紹介することはできないのでぜひ、電子書籍端末やAppleやAmazonの動きに興味のある方はご覧になって欲しい。英文だが簡単な会話なので難しくないし、笑えること間違いない。

cnet reviews : Steve Jobs meets the Kindle

 2007年11月某日、SteveはJeffからKindleを見せられて、そんなもの売れるわけがないと一蹴するのだが、その言い方が彼らしいのと、いかにも本心を隠している感じがいかにもで本当の記事かと一瞬思ってしまう。「そもそもアメリカ人の40%は去年1冊も本を読んでいないんだ」「最低のデザインだし、ボタンが多すぎる、エレガントじゃない」「誰がそんなものに400ドルも払うと思っているんだ」といった辛辣なコメントが続く。

 面白いのは、Steveに読書端末なんて市場が小さすぎると言われてJeffが
Bezos: You have 5 percent of the PC market. I'm looking at the 5 percent of people who read a lot. How's that any different? 
と切り返すところだ。これにはさすがのSteveも黙ってしまう。会談のクライマックスはこう続く、

Bezos: Think about it. "The Apple Reader powered by Amazon."
Jobs: How 'bout "The Apple Reader powered by Apple?"
Bezos: People don't read books.
Jobs: Until I make it cool to read 'em.

book.jpg ここの辺りは最近のApple周辺の噂を知っている今となっては大変興味深いものがある。AmazonはiPhoneやiPod TouchでKindle用のデジタルブックが読めるソフトをApp Storeで配り始めたし、大型のiPod TouchやNetbookに対抗するMacBookのTouch Panel版であったり様々な噂や憶測が業界を流れている。Appleの本社に大量の本が運び込まれて来るべきMacBook Readerのためのデジタル化が進んでいるとか、まことしやかに語られている。

アマゾン、iPhone向け電子書籍リーダーアプリを発表--「Kindle」とも連動
アップルの新タブレットで新たなうわさ--今度は「Kindle」に似た製品
アップル、タッチスクリーン式ネットブックを開発中か

ブロードバンドネットワークがすべてか?

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「正月に考えたこと」というタイトルで書いてきたが、二回目から大分時間が経ってしまった。もう二月も後半に入っているので、正月という訳にもいかず、タイトルを変えることにした。ただ、言いたかったことは変わっていない。デジタルコンテンツの配信方法はもっと多様に考えていいと思う。ブロードバンドが世の脚光を浴びて来たので、どうしてもその回線を使ったサービスをメインに考えがちであった。そしてそれは間違いでは無いのだが、デジタルコンテンツの配り方にはもっといろいろと方法があることを忘れてはいけない。

network.jpgP2Pによる配信はとかく問題視されてきたが、最近の動きを見ると、かなり世間的に認知されてきているように思える。Winyの問題があったり、最近ではShareが摘発されたりしている中で、いろいろなグループによってP2Pによる配信が実用として広まりつつあるようだ。我々アイドックも大手のP2Pベンダーとそれぞれプロジェクトをお話する機会が増えてきている。動画配信のセキュリティというとこれまでストリーミングによる配信をすればいいと言われていたが、ストリーミングによる配信では本当に動画ビジネスが大きくなった時にサーバーや通信インフラが悲鳴を上げてしまう。これまでストリーミング配信が行われていたのも、それだけ市場が限られていたということである。

今後動画ビジネスが本格化するに当たって、ストリーミング以外の方法、プログレッシブダウンロードや本当の意味でのダウンロード配信、またはP2Pによる配信、そしてDVDやUSBやSDなどのメモリーデバイスによる配信など、それぞれの特徴を生かした配信が必要とされている。前回までに述べたように、ブロードバンドは確かに普及したが、それ以上にコンテンツはリッチになって来ている。地デジも始まり、各家庭には大型テレビが当たり前になった。PCでの閲覧だけを考えても、デスクトップ型のPCのモニターも20インチ以上が当たり前だろう。そこで見るコンテンツはどうしても従来とは違った高画質のものでなければユーザーはついてこない。

pc_life.jpg前回触れた郵送によるDVD配送がここに来てとてもメジャーになっていることも皮肉なことだろう。数年前の予測では2010年には光回線を使ったブロードバンドで各家庭では映画をオンデマンドで見ている筈だった。ところがどっこい、超古典的な配信方法である郵便を使って、これまた古典的なDVDが行ったり来たりしているのだ。アメリカでNetflixが始まった評判になった時にも、日本ではブロードバンドが進んでいるので、そんなサービスは必要なくネットで映画が配信されるとまことしやかに語られていた。という私もその頃はハリウッドで認められたDRMを日本で担いでいたものだ。

何事もこういったもので、だれを責めるものでもないが、デジタルメディアが普及する段階でみんなが予測を誤り、未だに試行錯誤が続いているように見える。


次回からはもう少し違った面からデジタルコンテンツビジネスを語っていきたい。

正月に考えたこと(その二)

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インターネットとデジタルメディアの関係はいわゆるイタチごっこの状態で推移して来た。インターネットが進化しブロードバンド化すると同時にそれを上回る勢いでデジタルメディアは巨大化して来た。ほんの数年前には300KBPSの動画でもみんなそれなりに興奮して、インターネットがブロードバンドになればこういった高品位のコンテンツを楽しめるようになると思っていた。ところが実際に回線がブロードバンドになったと思うとその時には700KBPSまたは1MBPSを超えるようなリッチな動画に慣れてしまい、もっとブロードバンドにならなければとフラストレーションが溜まって来る。光回線が当たり前になり10−20MBPSの回線が多くの家庭に引かれるようになると、3−4MBPS以上の高解像度またはHDコンテンツが当たり前になり、まだ回線が細いということになる。この関係はどこか妥当なところで落ち着くのだろうが、現状ではまだ高品位コンテンツを気持ちよく配信するにはブロードバンドとは言えない。

さらにこれらの巨大なファイルを配信するためには回線だけでなく、巨大なサーバーを構築運営する必要があり、これらがコンテンツビジネスの足を引っ張っている。Gyaoなども良い例で、動画に広告モデルを適用して素晴らしいビジネスモデルを目指したのだが、実際にはユーザー数が増えれば増えるほど回線とサーバーのコストがうなぎ上りにかさみ、それに伴う広告収入を得ることができずに未だに苦戦を強いられている。

そこで、マルチキャストやP2Pといったセンターサーバーに頼らない仕組みも盛んに導入されているが、これらもユーザー数とコンテンツの巨大化など最適なビジネスモデルを構築できていない。

DRMもこれに絡んでくる。動画を守るために敢て必要のないストリーミング配信をしたりして、ただでさえ不十分なインフラをぎりぎりに使うようなことをしている。しかもストリーミングがDRM的に安全化と言われればそんなことはない。いくらでもストリームをフックするソフトが出回っている。世の中のデジタルコンテンツでストリーミングで配信する必要のあるものは限られている。ニュースまたはスポーツやコンサートのライブ配信ぐらいなものだ。それ以外の90%以上のコンテンツはストリーミング再生をする必要はない。もちろん見たい時に見れるというのがデジタルコンテンツの利点なのでプログレッシブダウンロードのような仕組みは必要だが、ストリミーングではない。

Picture 3.png

最近DVDレンタルの世界でも面白いことが起きている。アメリカのNetflixのようなDVDを月極で郵送で送り合うシステムだ。最近はDVDレンタル最大手のTsutayaも積極的にこのサービスを行っている。なんと言っても延滞の心配をしなくてもいいのが受けている理由だろう。それと同時にDVDなどは見たい時に見たいと言った欲求もあるが、それほどの切迫感がない場合の方が多いことが原因だろう。ある時あるDVDがどうしても見たくなったら郵送で送ってくるのを待っていることなどできなくて、近くのDVDレンタルショップに駆け込むのだろうが、そんなケースは稀なことだ。自分が見たい映画を自由にリストしておけば順番に送って来てくれるサービスはユーザーの心理をよくとらえたサービスだ。私はLivedoorのぽすれんというサービスを利用しているが、毎回2本づつ送られてくるDVDを月に3往復くらいのペースで楽しんでいる。

Picture 1.png

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本来、理想的なブロードバンドが存在すれば物理的なDVDを郵送しなくてもダウンロードすればいいのだが、DVD二枚で6−8GBのデータをダウンロードするのを待っているよりもなんとなく送られてくるDVDを待っている方が心理的にリラックスできるのだろうと思う。

(この稿さらに続く)

謹賀新年、正月にかけて考えたこと。(その一)

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今週パイオニアがレーザーディスクプレイヤーの生産販売を終了すると発表したのには驚かされた。1981年の登場から27年間に日本だけで360万台を販売したという。このニュースで何に驚いたかというと、「まだレーザーディスクプレイヤーを作っていたんだ」ということだろう。これが多くの人の感想だろう。レーザーディスクの後、CDやDVDが登場し最近ではBlueRayが次世代ディスクとして標準化された。その間レーザーディスクはしぶとく生き残っていたのだ。確か登場当初は百科事典や教材の媒体として注目されたように記憶している。最近はどうようなコンテンツが作られていたのか知りたいところだが、それは別の機会に譲って、デジタルコンテンツの媒体ということを考えてみた。

インターネットが発達しブロードバンドも一般化したため、デジタルコンテンツとブロードバンドが一対で考えられるのが当たり前になってしまい、オフラインまたはパッケージ化されたデジタルコンテンツ流通がとても古いものとして注目されなくなっている。音楽コンテンツの流通がiTunesを始めとするネット配信の台頭で従来のCDが売れなくなったというのが一般の見方だ。だがことの本質はそんなに単純ではない。

ipod.jpgアップルのSteve Jobsの有名な反論は「iPodの中にある音楽のほとんどはCDなどからのリッピングでネットから、有料無料を問わず、ダウンロードされたものは数%に過ぎない」というのがある。これは事実だろう。実際私の16GのiPhoneの中も、ほとんどがCDからのリッピングだ。デジタルコンテンツビジネスの先頭を走る音楽コンテンツがこういった状態なので、ネットで配信される映画やビデオコンテンツましてや電子雑誌や電子書籍などはコンテンツビジネス全体から見れば本当に微々たるものだ。

つまりまだ世の中はオフラインパッケージされた媒体の中のデジタルコンテンツが主流を占めているのだ。レーザーディスクさえもが何らかの理由で今日まで新しいプレイヤーが製造されていたのだ。

usb.jpgもう一つデジタル記憶媒体の話で最近注目されるのがフラッシュメモリーの急激な低価格化だ。1GB100円という声が聞こえて来ている。これもかなり革命的なことだと思う。1GBあれば標準画質の映画ならば十分入ってしまうし、音楽や書籍系のコンテンツならばかなりの数を入れることができる。そのコストが100円だとういうのだ。もちろんこれには従来の媒体はCDだろうがDVDだろうがかなわない。さらに書籍系のコンテンツの媒体としての紙の費用対効果も大きく凌駕している。容量だけを見ればDVDはまだ対等に勝負できるかもしれないが、USBやSDメモリの扱いの容易さを考えるとDVDもおちおちしていられなくなってきた。もちろん、FlashメモリとCDやDVDではコンテンツのコピーの仕方が違うので、大量に同じパッケージを作る場合にはCDやDVDに軍配が上がる。一方、書き替えが容易にできるFlashメモリの場合は少数またはOn Demandの用途に最適だ。そして世の中のコンテンツ市場を見ると、何百万部と売れるようなコンテンツはほんの一握りで、その他の多数はいわゆるロングテールを形成している。

(この稿続く)

動画ビジネスの今後を予感させるサービス

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 激動の中2008年も暮れようとしている。政治や経済がどのように変動しようが技術をベースにした社会変動の大きな波は確実に動いている。今年の最後に動画ビジネスの未来を予感させるサービスを紹介する。

navicon.gif 今年の6月に静かに一つのサイトが誕生した。インターネット上でサービスされているオンデマンド動画番組情報を紹介するナビコンだ。
ナビコン株式会社代表取締役の木尾保男社長はアスキーで営業部長としてパソコン業界で辣腕をふるった後、EPGや映画情報サイトを手がけてきたが、そのノウハウを生かして6月から動画情報検索サイト、ナビコンを始めた。今後大きく広がるネット動画の世界でのナビゲータになるというコンセプトで幅広いネット動画に関する情報を整理して提供するサイトだ。

 対象とする動画はGyao、Yahoo動画、ShowTime、バンダイチャンネルなど100以上のサイトをカバーし当面10万コンテンツのデータベース化を目標にしている。YouTUBEやニコニコ動画などの投稿系のものやアダルトは扱わない。ナビコンでは各動画のメタ情報をデータベース化していろいろな角度から検索ができるようにしている。ジャンルとしては映画、アニメ、ドラマ、スポーツ、バラエティから趣味、教育、観光、ショッピングと幅広い。有料のものも無料のものもある。

 これまでの動画検索では投稿系のものが中心であったり、検索する範囲が自社のものだけだったり、十分にユーザーの気持ちが反映されていなかった。ナビコンでは商用サイトに絞ることでコンテンツの質を一定のレベルに保ちつつ、広範囲に動画配信サイトを網羅することでユーザーの琴線に触れるサービスとなっている。

 地上波のテレビがデジタル化されるとともにEPGも一般的に使えるようになって来た。ところが皮肉なことにそれと平行して地上波テレビのコンテンツの質は低下し続け、曰く子供と年寄りしか見ないような内容で満ちあふれている。せっかくのEPGで検索したり予約したりするようなコンテンツはどんどん減っている。これは新聞や雑誌と同様にテレビの広告収入が減り続けていることでも数字に現れている。一方インターネットの世界ではインフラとしてのブロードバンドは十分に使えるものになり幅広いジャンルのコンテンツが配信され始めている。もちろんインターネットの元来の特徴で玉石混淆のコンテンツが入り乱れているが、多くの石の中に少数ではあるが玉も確実に増えて来ている。

 こういった中でナビコンのサービスの意味するところは大きい。入り乱れて存在する動画コンテンツを適切にナビゲートするサービスが現在存在していないからだ。ちょうどテレビのEPGや番組案内のような仕組みがない。グーグルのようにロボットが機械的に動画を集めてくるサービスではなく、また動画配信会社が自社のコンテンツの案内だけをするのではなく、公平にかつ網羅的にインターネット上の動画を紹介し検索できる仕組みだ。そこには人間の手による編集というフィルターが介在しユーザーにとって使いやすいものになっている。

kizunakatsudo.gif サービス開始から半年間の運用の中で最も特徴的なイベントとして埼玉総体(インターハイ)が、7月~8月に掛けて行われ、NPO法人埼玉総体動画配信支援センターが全競技をネットで動画配信(一部ライブ)を行った。この時期は北京五輪や高校野球が行われた時期であるにも関わらず、期間中に130万ビュー、サイトへのアクセスは700万PVと多くの視聴があった。学校関係者や家族から大変好評を得たそうである。このようなサービスこそ、ネットでの動画配信の強みがあると木尾社長は語る。

 木尾社長の計画では業界で動画に関するメタデータのフォーマットを決めて、より効率的に必要な動画を見つけられるデーターべースを作ろうとしている。これまで動画と言えば放送局が流す一方的な番組だったものが、これからはインターネットをベースにした動画配信が大きく伸びていくのは間違いない。日本の放送局も遅ればせながら番組のネット配信に積極的になりつつある。そしてそこにはナビコンのようなサービスが必須だろう。
 来年もデジタルコンテンツのビジネスは大きくうねるように成長していくだろう。試行錯誤の部分がまだ大きくコンテンツの内容、配信方法、DRM、ビジネスモデルなど様々な動きが相互に影響されながら変化していくだろうが、着実に市場が拡大することだけは間違いない。
 
<了>
ナビコン株式会社 代表 木尾保男 氏
mr_kio.jpg元アスキー営業部長。EPGや映画情報サイトを手がけたノウハウを生かして6月から動画情報検索サイト「navicon」を開始。

CNET主催 Japan Innovation Conference 2008
「~いよいよ本格化する動画ビジネス最前線」

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今週、11日に東京の六本木で開催されたCNET主催のJapan Innovation Conference 2008「~いよいよ本格化する動画ビジネス最前線」に参加した。

CNET.jpg講演は以下の6つで、

1 グーグル株式会社「YouTubeにおける事業の方向性」
2 ライムライト・ネットワークス・ジャパン株式会社「コンテンツのリッチメディア化とユーザーエクスペリエンスの変化」
3 マイクロソフト株式会社「オンラインサービスにおけるマルチメディア戦略」
4 株式会社東芝「東芝の動画プロモーション戦略」
5 株式会社ビデオリサーチインタラクティブ「動画サイトの接触状況と動画コンテンツ・広告効果測定の考え方」
6 株式会社ドワンゴ「ニコニコ動画のビジネスについて」

この中から今回はグーグルのYouTube戦略とドワンゴのニコニコ動画戦略についてまとめる。

YouTube.jpg グーグルYouTube営業部長の牧野友衛氏の講演はグーグルのYouTube戦略ということで多くの人の注目を浴びていた。投稿する側も見る側もフォーマットを気にせずに利用できる動画共有サイトとしてあっという間に巨大なプラットフォームになると同時に動画を非常に身近なメディアにした功績は大きい。2005年の1月に設立して、5月にサービスを開始したということだが、本当に短い間に大きくなったものだと感心してしまう。現在23カ国でサービスしていて、月間2800万ユーザー、一日数億回ビュー、一分間に13時間のアップロードという数字を聞くと驚いてしまう。
 牧野氏が強調していたのは、ユーザー、クリエーターと広告主の3者によるエコシステムの構築ということだ。ユーザーにとってはいつでもどこでも動画を共有できてコミュニケーションツールにもなる。クリエータにとっては、世界に自分の動画を届けることのできるツールで広告を通しての収益化が計れて著作権についても効率的に管理できる。広告主にとっては、的確に広範囲にリーチでき効果的な広告メディアである。
 続いて、公式パートナーやコンテンツパートナーシップなどによる広告やキャンペーンの実際について報告された。ブランディングや市場調査などにも使えるツール類の紹介もなされた。インビデオ広告や視聴パターンの分析なども大変興味深かった。
 議論の多い著作権処理についてもJRC、eLicense、JASRACなどとの包括契約によって著作権処理されたコンテンツの最も多い動画サイトになっている。さらに独自のコンテンツ管理システムによりリファレンスファイルと動画認識技術によってすべてのアップされた動画をマッチングしている。これも驚くべきことだ。
 今後はワンクリックでAmazonやiTunesなどで動画を購入できるようにしたり、長尺の動画でIn RollやPre Rollの動画広告の挿入も予定している。アメリカでは今年の8月に26億回のSponsored Video Adsが流れて、これはYahooの24億回を超えたということだ。
 牧野氏はまとめて次の三つのコンセプトを上げた。
1 Everywhere/More video
2 著作権管理 Regional管理も今後はやる
3 Monetization 収益化 AD/Promotion

niconico.jpg ドワンゴのニコニコ動画戦略を報告したのは最近ドコモから移籍して話題になっている夏野剛顧問だ。夏野氏はYouTubeとの違いから話を始めた。ニコニコ動画は単なる動画共有サイトではなく、動画によるコミュニケーションの場を提供しているメディアだということだ。現在980万人の登録ユーザーがいてメールアドレスを登録している。一日に5000件のアップロードがある。その内20万人が優先接続を受けられる課金ユーザーだ。
 その他の基礎数字としてはPage View6500万、Unique User 230万人、1900万Stream、260万コメント、平均滞在35秒、平均試聴時間194秒という数字が発表された。ユーザーは10代が29%、20代が46%、30代が16%、その他が9%だ。圧倒的に10代から20代の若者に支持されているメディアだ。
 他に一万人を同時に繋ぐニコニコ放送やニコニコ会議などのLiveイベントについても興味深い事例とともに紹介された。野球中継や映画の試写会、新製品発表会、などなどその利用のアイディアはたくさんある。さらにニコ割アンケートといって、予告せずにその時に試聴しているユーザーおよそ20万人に対してアンケートをとるということもやっている。これなども、既存の調査に比べて圧倒的に効率良く即時性を持ったツールで、今後の社会システムを変えてしまうくらいのインパクトがありそうだ。
 ニコニコ動画では12月4日に大きなリニューアルを予定している。2000万人レベルのユーザーを持つメディアになるための施策だそうだ。楽しみである。

次回は残りの講演について報告する。

<了>

デジタル動画ビジネスとDRM

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9月29日のCNETの記事で米アマゾン・コムのオンデマンド動画サービスから動画を無料で保存できる状態になっていることが報じられている。(Flash Media Server」にセキュリティ問題--アマゾンから動画を無料ダウンロード可能に
アマゾンはAdobeのFlash Media Server 3.0を使って有料で映画やテレビ番組の動画のサービスをしているのだが、Adobeのソフトウェアのセキュリティホールのために特定のキャプチャソフトウェアで自由に保存ができてしまうということだ。Adobeはストリーミングの性能を重視してセキュリティの実装が甘かったことを認めているらしい。

20081023_03.jpg
デジタルコンテンツビジネスにおいてDRMは基盤となる技術で、コンテンツビジネスの拡大とともにDRMについても様々な議論がなされている。議論の傾向としては、DRMの否定的な面のみを取り上げて「DRMは必要悪である」と表現したり、極端な場合は「必要」が取れて「悪である」ように言われたりしている。そういった議論では頻繁にDRMの本来の目的を忘れてポイントの外れたままの議論になっている例も多い。または、アップルのSteve Jobsのように意識的にDRMの意義を歪めて説明して自分の主張を通すための道具に使っている例もある。

複製が容易で複製されたコンテンツの品質が劣化せず、しかもその配布が容易だというデジタルコンテンツの特性から、デジタルコンテンツをビジネスにしようとする場合、DRMは避けて通ることができない。そしてDRMはデジタルコンテンツの特性を制限することになるため、ユーザーの利便性を間違いなく損なう。この矛盾をどう解決するのかがまさにデジタルコンテンツの本質でもある。DRMだけでなく、広告や課金などビジネスモデルの面からも様々な試みがなされている。アップルのiTunesはその優れた成果の一つで音楽だけでなくビデオや映画の配信でも主要なプレイヤーになりつつある。


20081023_04.jpgビジネスを守りつつユーザーにとってストレスの無いDRMが求められている。またより多様なサービスを提供する基盤を作ることが期待されている。アイドックのKEYRING.NETを含め各社開発に力を入れているがまだ路半ばというところだ。DRMとはコンテンツをビジネスにする側とそれを消費する側のせめぎ合いで、DRMはデジタルコンテンツビジネスの普及の裏面史である。昨今言われるような「DRM不要論」では何も解決しない。

動画コンテンツを不正な利用から保護しようとした時、従来からのソリューションの一つはストリーミング配信である。デジタルコンテンツをダウンロードさせるからいろいろな不正な処理がされるのであって、ストリーミング配信すればその危険性が少なくなくなるというものだ。しかし現在ではストリーミング配信されたコンテンツを保存するソフトウェアは巷に溢れていて、もはや安全とは言いがたい。これは今回アマゾンの例で改めて証明されてしまった。もちろん、ダウンロード(Progressive Downloadも含む)される場合よりも不正利用の可能性が低いということは事実だが、ストリーミング配信していれば安全とは決して言えない。

ストリーミング配信がより安全だという理由で、多くのコンテンツが必要以上の配信インフラを使っている。このために、最近では米国のComcastのようにユーザーの利用する帯域を制限しようとする動きもあり、一層デジタルコンテンツが持つ本来のダイナミズムが阻害されようとしている。(コムキャスト:「『過剰な』トラフィックをブロックしているだけ」--BitTorrent問題で釈明

適切なDRMで保護されていれば、デジタルコンテンツの配信方法は何であってもいいはずである。適切なDRMの代わりに配信方法が制約を受けている。最近はP2Pによるコンテンツ配信も広く使われようしているし、DVDやBDなどによるオフライン配信も盛んになるはずである。現在デジタルコンテンツの配信にストリーミングが使われていたり、大規模なCDNが利用されていたりするのは適正なDRMの欠如が一つの原因かも知れない。



次回はさらに話題を広げて動画ビジネスと課金や広告との関連について考えてみる。

電子雑誌の潮流を探る 第2回電子雑誌にとってDRMはどういう役割を果たそうとしているのか?

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前回の結論として、紙媒体の雑誌の多くは何らかの形で電子媒体に移行せざるをえず、同時にその電子雑誌は広告モデルに重心をおいた無料化へ大きく舵を切ることになるだろうと書いた。
では電子雑誌にとってDRMはどういう意味を持ち、どういう役割を果たそうとしているのか?

20081023_01.jpg

現在見ることのできる電子雑誌はほとんどが既存の紙媒体の編集やデザインをそのまま電子的な紙芝居にしたものだ。電子雑誌のビュアーには各社いろいろ工夫を凝らしている。
閲覧のためのボタンや3Dアニメーションを使ったページめくりなど、これまでになかったユーザーエクスペリエンスを実現している。
しかし、現在のところ電子雑誌にはまだDRM(Digital Rights Management)は施されておらず、出版社にとっての懸案事項となっている。今のところ、見本誌として一部分のみを電子化したり、バックナンバーの みを公開したりしているのも、まだ紙媒体の販売を第一に考えているのと、記事や写真を保護せずに配信することができないからであろう。

DRMが必要になるのはコンテンツの著作権や肖像権の保護のためだけでなく、広い意味での流通のコントロールが目的である。
通常著作権者との契約が紙媒体だけの場合、電子媒体で配布することができない。電子媒体を契約に含めようとすると契約金額が上がるか契約ができないことも ある。出版社でコントロールできる編集ページの場合はまだいいが、広告頁の場合はその権利関係の処理がより大きな問題になる。

このように紙媒体の紙面そのままで電子化する場合にはいくつかの壁がある。
企画、編集の段階から電子配布を前提として著者やカメラマン、または広告代理店との契約を処理すれば問題ないのだが、現状ではそこまで本腰を入れて電子媒体を真剣に考えている雑誌は少ないために、どうしても曖昧な電子化ということになってしまう。
紙媒体と電子媒体を総合的に考えたビジネスモデルが存在せず、取材や編集にかけるコスト、載せる広告の適正な価格などが未開拓だというのが現実だ。

20081023_02.jpg

現在、出版社、広告代理店、インターネットポータルなどの各社が新しいビジネスモデルの構築を目指して試行錯誤している。雑誌で紹介された物品をすぐに購入 できるサービスやコンテンツの内容にマッチした広告、それもダイナミックに変更挿入される広告などが考えられる。広告の効果測定の技術が組み込まれること により紙媒体とは決定的に違う広告主にとってより理想的な媒体に成長する可能性がある。DRM技術はこれらの新しいビジネスモデルを構築するための基盤技 術になろうとしている。
新しいビジネスの変化に対応するソリューションとして、単にコンテンツの複製を抑制し不正利用を防ぐだけの技術ではなく、より魅力的な電子コンテンツビジネスが生まれるような基盤を提供するものになろうとしている。

次回は電子コンテンツの中でも一番ポピュラーな動画コンテンツについて考えてみる。

電子雑誌の潮流を探る 第1回ますます盛んな電子雑誌はどこへ行こうとしているのか?

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インターネットポータルと雑誌のコラボレーション

インターネットポータルと雑誌のコラボレーション大手ポータルが雑誌との連携に積極的だ。Yahooはタグボードと組んでXBrandというページで主要10雑誌と提携して各雑誌の内容を紹介している。MSNはマガジンハウスと組んで「Hanako」、「Tarzan」、「クロワッサン」などのバックナンバーの閲覧ができるマガジンサーチを始めた。
ph_01.gif手法は違うがそれぞれ人気雑誌のコンテンツをポータルに取り込もうとしている。出版社ではそれぞれのホームページで雑誌の立ち読みやバックナンバーの閲覧ができるようにしている場合もあるが、やはり大手ポータルのように人の集まる場所に出版社の垣根を超えて集められている方がユーザーにとって圧倒的な利便性がある。

雑誌を発行する出版社は崩壊しつつある紙媒体でのビジネスモデルの再生を電子媒体に求め、ポータルはより多くの集客を雑誌コンテンツに求めている。ポータルはこれまでもニュースや天気予報などの一般的な情報コンテンツを新聞社などとの提携で集めていたが、ここにきてよりリッチなコンテンツを自らのサイトに誘導しようとしている。


問題山積みの出版界の中で雑誌がいち早く動き始めているのには理由がある。販売部数は減り、広告は取れなくなってきている雑誌は出版の中でも生き残り戦略の緊急性が高い。昨年、インターネット広告が雑誌広告を超えたが、それは単なる象徴としての出来事でしかなく、事態はより深刻である。各出版社は雑誌コンテンツの配布形態またはビジネスモデルそのものの変革に果敢に挑んでいるが、まだその結果を判断する段階にはない。インターネットや携帯電話などの技術変革が100年以上の歴史を持つ出版というビジネスモデルを大きく揺さぶっている。結論としては紙媒体の雑誌の多くは何らかの形で電子媒体に移行せざるをえず、同時にその電子雑誌は広告モデルに重心をおいた無料化へ大きく舵を切ることになるだろう。

先月のブックフェアでも、電子雑誌のビュアーや制作ツールの展示が多く見られた。ソリューションとしては単に電子雑誌をコンテンツとして売るという単純なものでなく、バックナンバーを無料で公開したり、紙媒体と同様に広告モデルしたりといった試みが主流である。

最近の主な電子雑誌の動き

ph_02.gifポータルとの連携以外でも雑誌社は各社とも電子メディアでのビジネス展開を積極的に始めている。主婦の友社の「ef」 は電子媒体専門の雑誌だ。マガジンハウスは自社のサイトでバックナンバーや最新雑誌の一部を立ち見という形で公開している。小学館はSookというサイトで電子雑誌を公開している。Fujisan.co.jpは従来からの雑誌の定期購読売りと同時に電子雑誌の配信も始めている。

雑誌の生き残り戦略の基本となるのは電子媒体でのビジネス展開である。従来、紙媒体での販売の減少を恐れて電子媒体への取り組みが遅れがちであったものが、最近は各出版社とも積極的に電子媒体での配信に意欲を見せている。これらはどれも、既存の紙媒体の編集やデザインをそのまま電子的な紙芝居にしたものだ。

Fujisan.co.jpは米国Zinio社のシステムを使っていたが、今は他社と同じようにページ情報を画像にしたものをFlash形式で配信している。閲覧のためのボタンや3Dアニメーションを使ったページめくりなど、これまでになかったユーザーエクスペリエンスを実現している。ユーザーのモニターのサイズに依存するが、15インチ以上でSVGA以上の解像度があれば、閲覧するのにそんなに苦労はしない。ビュアーによって、拡大縮小機能や検索機能などに差があるがおおむね同等と言える。

次回はこうした電子雑誌とDRMの関係について考えてみる。



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プロフィール
成井秀樹写真
アスキーにてMS-DOSなどマイクロソフト製品の日本市場導入にかかわり、西社長(当時)やマイクロソフト社長ビル・ゲイツ(当時)から薫陶を受ける。99年アイドック株式会社を創業、05年PDFコンテンツの著作権保護ソリューション「KeyringPDF」を開始。07年、国内初のSaaS型FLASHコンテンツ保護ソリューション「KeyringFLASH」を開始した。デジタル著作権保護の第一人者。趣味はフライフィッシング、東京外国語大学卒、東京都出身。
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